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第1回定例会閉会

IMG_89803月8日(水)現任期最後となる2023年第1回定例道議会は2月17日に開会、令和4年度一般会計補正予算、令和5年度一般会計予算、「防災・減災、国土強靭化対策の着実な推進を求める意見書」など可決し、3月8日に閉会しました。代表格質問には山根理広議員(札幌市北区)が立ち、知事の政治姿勢、新型コロナウイルス感染症対策、行財政運営、地方創生の推進、鉄道機能の維持存続、医療・福祉課題、経済と雇用対策、北電の電気料金値上げ、大雪対策、建設政策の推進、第1次産業の振興、人権施策、ゼロカーボン北海道、教育課題について質しました。私は保健福祉委員会委員長として付託された議案の審査の経過と結果について報告させていただきました。

IMG_57091 主な審議経過について

開会日冒頭、子育て世帯を対象とした物価高騰対策を盛り込んだ総額170億円の2022年度一般会計補正予算案の先議を行い、小泉真志議員(十勝地域)が、物価高騰等対策特別支援事業費、出産・子育て応援事業費、北海道旅行割引事業、JR単独維持困難線区支援事業費、物価高騰等への今後の対応等について、知事の所見等を質した。
また、最終補正予算については、年間事業費の見込みから一般会計で137億2,350万円の増額措置が講じられた。主な増額補正では、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金関連事業費435億7,610万円、減債基金積立金150億円、財政調整基金積立金84億円などが計上された。一方、主な減額補正では、保健福祉関係義務的経費59億1,380万円、感染防止対策協力支援金支給事業費(機動的対応分)301億4,700万円、中小企業総合振興資金貸付金86億7,290万円などが計上された。これにより知事が提案した2022年度一般会計予算の最終総額は、3兆5,379億6,859万円となった。
一方、2023年度一般会計当初予算案は、本年が知事及び道議会議員の改選の年であることから、当初予算は、道政運営の基本となる経費を中心とした、いわゆる「骨格予算」として編成されたことから、前年度当初比で11.6%減(前回骨格予算比:平成31年度当初比で9.2%増)の2兆8,507億円となった。歳入における道税収入は、前年度当初比4.7%増の6,513億円、うち地方消費税は、前年度当初比14.7%増の1,818億円を、また、地方交付税は、前年度当初比14.8%減の5,427億円、道債は、前年度当初比16.8%減の4,308億円を新規発行する。
なお、21日の本会議では、政審・会派発議として「朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射に抗議する決議案」を提出し、原案どおり可決した。
代表格質問では、知事の政治姿勢について、まずは在任4年間の道政運営に関する自己評価を質したが、「道民に評価いただくもの」の繰り返しで、とりわけ反省すべき点は最後まで語られることはなかった。これまでと変わらず、核心については口を噤んでしまう、それでは道民に何も伝わらないばかりか、善し悪しの適正な判断は難しい。知事は、道民に対しては、もっと誠実かつ正直に対応すべきである。
また、道民目線の独自政策については、道民に寄り添った独自政策と方向性を質したが具体的な答弁はなかった。知事が意欲的に取り組む3つのキーワード「エネルギー」、「デジタル」、「食」が身近な道民生活の向上にどう結びつくのかまったく見えてこない。まずは道民や地域の声を丁寧に拾い上げることから始めることが必要だ。
在任期間の多くを新型コロナウイルス感染症対策に費やしてきた。全ての対策が順調に推移してきたとは言い難い。地域で混乱を招いた実態を踏まえ、対策の総括と検証をしっかり行い、新たな感染症に備えることが必要と指摘したが、知事は、「国の動向やこれまでの取組などを踏まえ、適正に対応する」との答弁に止まり、これまでと同様に前向きな姿勢は示さなかった。これでは、今回で得た貴重な教訓は活かされず、再び、同じ不安や混乱を招くことは避けられない。知事は、「評価・分析に基づく対策」が極めて有効であることを再認識すべきである。知事は、コロナに限らず対策の効果や影響の検証が消極的に映る。「丁寧な説明(情報発信)」とよく口にするが、足りているかの検証すら実施していない。これで道民の生命と財産を守れるのか甚だ疑問である。
また、鉄道機能の維持存続についても、道としてJR北海道の路線維持問題にどのように対応するのか。さらに物流の大動脈である函館-長万部間の存続議論にどのように臨むのか。所見を質したが、「鉄道の利用拡大に取り組む」、「しっかりと協議・検討を行うことが重要」と述べるに止まり、道としての積極的に議論に参画する意気込みがまったく感じられなかった。本道経済活性化にはオール北海道で臨むべきであり、知事自身もそう考えていたのではないか。道が主体的に調整役を担うべきである。
物価高騰が続く中、とりわけ北電の電気料金値上げは、道民生活や中小企業の経営に深刻な影響を与えているのは明らかだ。国頼みだけでなく独自の支援策は考えていないのか。知事の認識を質したものの、「影響の把握に努めながら適切に対応する」とのあまりにも不誠実な答弁が返ってきた。「ない袖は振れぬ」ではなく「振れるだけの袖」を用意すべきである。提唱する政策の柱である「稼ぐ道政」とはそういうことでないのか。道独自でも喫緊に対応すべき切実な社会的課題であることをしっかり認識し、対処すべきである。
また、「電気料金の値上げ」のほか経済と雇用対策では、「本道経済回復への道筋」、「流通業界における2024年問題に係る労働力対策や事業支援策」について、知事の認識及び考え方を質した。知事からは「産業振興に資する施策の展開」、「安定的な物流の確保に取り組む」と答弁があった。
医療・福祉課題では、障がい者グループホームにおける子育て支援について取り上げた。直近の障がい者グループホームでの一方的な避妊強要の疑い事案の発覚を踏まえ、妊婦と幼い命を守るための子育て政策について質した。知事は、「実態調査によりニーズの把握に努め、国に対して必要な要望を行う」と答弁したが、調査結果を起点とした国への要望では、次年度内の対策実施は難しい。調査と並行して最大限の対応を求めた。このほか「子育て環境の整備」、「生活困窮者への居宅支援」について取組の強化等を質した。
第一次産業の振興では、農業、林業及び水産業における喫緊の各課題について認識、所見を質した。農業政策では、コロナ禍の需要低迷や資材高騰等により苦境に立たされている農業者や酪農家に対する追加支援策の増強と生産基盤の強化を質した。知事からは「道独自の支援策は講じてきた。今後とも離農の抑止や農業経営の安定に努める」とこれまで繰り返された答弁に終始した。農業振興を掲げる知事の責任を全うするとともに、現場に寄り添った食糧基地北海道の発展により一層注力するよう強く指摘した。
また、水産業政策では、早ければ今年の春から夏にかけて始まることが危惧される東京電力福島第一原発の処理水処分について、「漁業者や道民の暮らしと本道のポテンシャルを重視するならば、海洋放出に反対するべき」と所見を質したものの、知事は、「風評被害が発生した場合は、国が機動的な対策を講じる必要がある」と、ことさら国の責任を強調し、主体的な言動に関しては消極的な姿勢を示した。林業政策では、「森林整備」と「コンテナ苗の利用拡大及び林産業振興」について、知事の認識等を質した。
人権施策については、「就業差別」、「性的マイノリティの差別解消」、「パートナーシップ制度」に関して知事の認識等を質した。知事の答弁は、これまで域をまったく出ない繰り返しに終始した。国会においても性的少数者に関する議論が深化する中、「適切な配慮の輪が広がるよう取り組む」、「必要な役割を果たしていけるよう努める」との発言は、余りにも関心のなさが際立っている。本件に対する頑なな姿勢を崩さないのは、確固たる理由が他にあるのか懐疑的にならざるを得ない。誰もが多様性を尊重し、共生できる社会の醸成も「エネルギー」、「デジタル」、「食」と同等に重要であることをこれらも粘り強く追求していく。
教育課題に関しては、「インクルーシブ教育」、「こどもの権利」、「私立高校生への就学支援拡充」の三点について質した。インクルーシブ教育について、昨年の国連権利委員会勧告に対する知事及び教育長の認識を質した。知事は「教育委員会や学校等と連携し、教育支援の充実に取り組む」、教育長は「インクルーシブ教育システムの推進に努める」とそれぞれ答弁したが、現場実態への認識と具体的な改善策の言及はなかった。
また、こどもの権利については、新年度からの「こども基本法」施行に併せた総合条例の制定を求めたが、知事及び教育長は従前と変わらない主旨の答弁の繰り返しに止まったことから、「様々な場面、場所で解決すべき問題が山積している中、早急に総合条例を制定するべきだ」と強く指摘した。

2 採択された決議・意見書
(◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射に抗議する決議
◎防災・減災、国土強靭化対策の着実な推進を求める意見書
◎準抗告の申立て及び保釈請求における法令手続の見直しを求める意見書
◎性的少数者に関する国民の理解増進等に関する意見書

3 当面する課題と対応

(1)知事の道政運営について
今定例会においても我が会派は、「新型コロナウイルス感染症対策は十分な評価・分析を行い、危機管理機能の充実・強化を図るべきだ。」また、「ゼロカーボン北海道やデジタル化の推進など多くの施策は、国の焼き直しに過ぎず、人口減少や物価高騰策など道民に寄り添った独自の施策が必要だ。」などと再三、知事の道政運営に対して指摘してきた。
しかし、知事は、自身に優位な実績ばかりを強調し、総体的に公約として道民に約束した施策はあたかも果たしたかのような答弁に終始した。淡々と語る知事はいかにも誠実に答弁しているかのように映る。しかし、どんなに質問や指摘を行っても真摯に受け止める姿勢は認められない。実態は「その場しのぎの先送り」に等しい。1月15日の出馬表明の際、「北海道が時代の岐路に立っている」と述べたが、「岐路」とはどのような状況なのか。未だに明言していない。具体的な現状認識を明らかにしないのは、誇れる実績に乏しい裏返しではないか。
人口減少、JR路線維持問題、核ゴミ最終処分場選定、泊原発再稼働の同意など高度の政治判断が求められる課題が山積している。知事は、道民からの異論や疑問に正面から答え、議会での議論を尽くし、丁寧な合意形成に努めるべきだ。
この4年間で唯一はっきりしたことは、当初期待された夕張で培った行政手腕は見込み違いだったということだ。

(2)新型コロナ対策の検証について
知事は、在任期間の多くを新型コロナウイルス感染症対策に費やしてきた。全ての対策が順調に推移してきたとは言い難い。地域で混乱を招いた実態を踏まえ、対策の総括的検証をしっかり行い、新たな感染症に備えることが必要と指摘し、実施の有無を質したが、知事は、「国の動向やこれまでの取組などを踏まえ、適正に対応する」との答弁に止まり、これまでと同様に前向きな姿勢は一切示さなかった。
これでは、今回のコロナ禍で得た貴重な教訓は活かされず、再び、同じ不安や混乱を招くことは避けられない。知事は、「評価・分析に基づく対策」が極めて有効であることを再認識すべきだ。検証なくして新たな対策は創造できない。知事は、「丁寧な説明(情報発信)」とよく口にするが、それすら足りているか甚だ疑問である。道民の生命と財産を守るため、対策の総括的検証を速やかに行うべきだ。
5月8日から感染症法上の取り扱いが変更されるが、3月6日の予算特別委員会の知事総括において我が会派からの質疑に対して「国に動向等を踏まえ、地域に混乱を招くことがないようしっかり準備する。」と答弁した。しっかりとした検証も実施しないまま、有言実行となるのか。引き続き、知事の言動、リーダーシップに注視していく。

(3)人権施策について
人権問題についても我が会派は、いち早く議会で取り上げ知事に考え方や認識、さらに「人権施策推進基本方針の改定」、「パートナーシップ制度の導入」など多様性を尊重する北海道の実現に向けた具体的な取組を質してきた。折しも、国会では、2月1日の衆院予算委員会で岸田首相が「(同性婚の法案化について)社会が変わっていく問題でもある。」と極めて後ろ向きな答弁があった。極めつきは、翌々日の3日には、荒井元総理秘書官が「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。」と同性婚に関する差別的な発言が続いた。性的少数者の人権を脅かし、我々が目指す社会とは全く相容れないものであり、断じて容認できるものではない。
共同通信社が2月に実施した同性婚に関する全国世論調査によれば、同性婚を認める方がよいとの回答は64.0%と、認めない方がよいの24.9%を大きく上回った。また、同調査では、若い年代層ほど性的少数者の権利保護に理解がある傾向が浮き彫りとなった。本件に関しては様々な考え方や価値観があることは受け止めるが、ただ一方で、多様性社会への理解も醸成されつつあることも事実である。
こうした社会の潮流に対して知事は、例えば「パートナーシップ制度の導入」に関して言えば、これまでの議会議論で我が会派が早急に北海道も導入すべきとの質疑に「(導入は)基礎的自治体である市町村が取り組むべきものであって、広域自治体である北海道は、性的マイノリティへの理解と適切な配慮の輪が広がるよう取り組む」と首相同様、後ろ向きな答弁に終始している。この間、導入に「賛成」なのか「反対」なのか自身の考えを明らかにしない態度を見ると「表向きは理解を示すものの、本音は導入を望んでいない」と懐疑的になる。
知事は、行政の中で唯一、選挙で選ばれた人間なのだから、自分の言葉で語らなければ何のために知事という仕事をしているのか分からなくなる。「自分たちが選んだ人が何を考えているのか」は、やはり伝えなくては、しかも自分の言葉で分かりやすく。見解が分かれる難題こそ、公の場ではっきりと自身の考えを述べるべきだ。でなければ道民の「理解」と「信頼」は得られない。

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