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2021-12-16
第4回定例道議会閉会
- 2021-12-16 (木)
- ささだブログ
12月16日(木)第4回定例道議会が閉会しました。
11月30日に17日間の会期で開催され、令和3年度一般会計補正予算、「北海道太平洋沿岸の漁業被害に関する意見書」など可決し本日閉会しました。
私は保健福祉委員長として委員会に付託された審査結果と経過を報告させていただきました。
今定例会の代表格質問には中川浩利議員(岩見沢市)が立ち、知事の政治姿勢、財政健全化、地域創生の推進、新型コロナウイルス感染症対策、医療・福祉課題、経済と雇用対策、エネルギー政策、温室効果ガス削減、道路陥没への対策、JR北海道路線維持問題、第1次産業の振興、北海道人権施策推進基本方針、北方領土問題、教育課題について質疑しました。
道は開会日冒頭、新型コロナウイルス感染症対策のほか、赤潮の影響とみられる漁業被害の緊急調査費を盛り込んだ総額43億2,000万円の令和3年度一般会計補正予算案を提出しました。
このうち今回の新型コロナウイルス感染症対策分として、新規に事業協同組合や商店街振興組合等が実施する感染防止及び消費喚起の取組に対する支援として5,000万円、テレワークの一層の普及・定着を図るため中小企業が行う通信機器の導入・運用等に要する補助として1億8,000万円。
北海道太平洋沿岸で発生した赤潮等による漁場環境への被害実態を把握するための調査費として2,700万円を計上し可決しました。
また、閉会日には総額1,637億8,000万円の本年度一般会計追加補正予算案が提案されました。
主な事業として、ワクチン・検査パッケージ制度推進費に1,400万円、PCR等検査無料化推進事業費に216億円、北海道太平洋海域で発生した赤潮による漁業被害に対する対策として、広域モニタリング体制構築事業費に7,900万円、環境・生態系保全緊急対策事業費3億円が計上されました。
追加補正に対して渕上綾子議員が(札幌市東区)質疑に立ち、補正予算に対する基本認識、公共事業費、赤潮対策、ワクチン・検査パッケージ制度推進費、PCR等検査無料化推進事業費について質しました。なお、追加分も含め本定例会での一般会計補正予算額の合計は1,681億1万円となり、原案どおり可決しました。
追加補正予算
これにより令和3年度一般会計は、総額で3兆6,500億5,900万円となりました。
また、定例会冒頭には、本年度の道職員の期末・勤勉手当の年間支給月数を0.15ヶ月分引き下げる道職員給与条例一部改正案など4件を原案通り可決しました。
代表格質問では、昨年の新春以降における「ピンチをチャンスに変える」という重要な政策決定の場において多投するフレーズから得られた成果について問いましたが、具体的な成果には触れず、抽象的な答弁に止まりました。
また、衆議院選挙の応援など政治との関わりについては、「あくまで公務最優先に必要な対応を行っている」と明確な見解は得られませんでした。
コロナ収束後の道政運営については、「守り」の視点と「攻め」の視点の両面での施策の展開が重要との認識は示したものの、「攻め」の具体的イメージに言及することはあれませんでした。
また、ポストコロナを見据えた戦略の策定と全庁横断的な推進体制の整備を求めましたが、現行の対策本部を中心にポストコロナを見据えて設置した組織との連携を強め、実効性のある政策を展開するとの自身の考えを推し進めることを強調しました。
地方創生の推進については、SDGsの推進体制とデジタルデバイドの解消に向けた取組を質しましたが、従前の域を出ない回答に終始し、「誰一人取り残さない社会の実現」への本気度に疑問符が付く内容でした。
新型コロナウイルス感染症対策のうち、新指標の移行については、導入に際して速やかに決定するとの答弁に止まり、運用面での言及はありませんでした。
また、追加(3回目)接種に関して、1回目及び2回目の混乱等を踏まえた円滑な接種への対応を質したところ、接種の前倒しも含め市町村の実情に即した接種体制の構築に資するよう、きめ細かな支援に取り組むとの考えを示しました。
前回の第5波では、死亡者も出た自宅療養者の医療提供体制に対しては、この度、策定した「保健・医療提供体制確保計画」において、自宅療養者に対する診療可能な体制が確保されているとの認識を示すとともに、関係団体や医療機関の連携のもと、道民が安心して療養できる体制の充実に万全を期する決意を述べました。
更に新たな変異株「オミクロン株」の感染流入抑止の対策の必要性を問うと、早期探知・早期介入に向けた監視体制の強化と個人には基本的感染予防策等の徹底を呼びかけるとの考えを示しました。
続いて、医療・福祉課題について、人口減少問題に関連するコロナ禍における「安心して出産・子育てできる環境づくり」や「産後ケア事業の拡充」、「AYA世代のがん患者の支援」、「介護保険料」、「生活困窮者支援」を質しましたが、いずれも「充実や負担軽減に努める」などに止まっており、具体的な対応に対する明言はありませんでした。
経済と雇用対策については、「観光振興」、「第三者認証制度」、「PCR検査体制」、「原油価格高騰」の4点について、知事等に考え方や具体的な対応を明らかにするよう質してきました。
「観光振興」は、需要喚起策の切れ目のない実施や旅の高付加価値化を図るなど、本道観光の持続的な発展に繋げるとの答弁がありました。
一方、対象の3分の1に止まっている「第三者認証制度」の申請促進には、「市町村等と連携し、制度の普及に取り組む」、また、無症状者のPCR検査体制整備については、「検査体制整備に対する検討を進める」と、具体的な内容や時期には触れず、不満の残る答弁となりました。
原油高騰は、生活に困窮する世帯や中小・小規模事業者等に深刻な影響が懸念されることから速やかに対策、支援を講ずるよう求めましたが、「すでに講じた支援策のほか、今後も燃油価格の動向や影響を把握に努め、必要に応じて国への要請、事業者や道民への影響が緩和されるよう、きめ細かな対応をする」との消極的な答弁に止まりました。
エネルギー政策については、とりわけ文献調査が開始され1年が経過しましたが、知事は従前より「概要調査へ移行した場合は、反対の意見を述べる」と公言していますが、概要調査に反対する理由を現時点で明らかにすべきと考え方を質しましたが、知事はこれまでの答弁を繰り返し、質問に答えようとしない姿勢に憤りを禁じ得ませんでした。
次に、温室効果ガス削減に向けた道の第3次地球温暖化対策推進計画における石炭火力発電の取扱い対して知事は、石炭は、地域で確保できるエネルギー資源であり、地域経済の活性化や雇用の確保に大きな役割を果たしており、バイオマスやアンモニアの混焼などの取組を進め、有効活用していくことが重要であるとの認識を示しました。
なお、削減目標の上積みとその方策は、年度内を目途に改定する計画の中で示したいとの考え方を明らかにしました。
削減目標等が明確となった時点で、改めて取組の実効性などを追求しなければなりません。
11月11日に発生した道道岩見沢桂沢線における道路陥没に伴う車両事故に関するこれまでの対応及び今後の対策について質しました。
現在、原因究明に向け、学識経験者からなる技術検討会を設置し、意見聴取を行っているところ、今後、早期復旧はもとより、検討会の意見を踏まえ、必要な維持管理手法の検討を行い、安全・安心な道路交通の確保に努めるとの答弁がありました。
また、JR北海道路線維持問題については、地域交通機能の維持存続に向けた道の役割、関わり方について質しました。
JRの第2期集中改革期間において基本指標の目標達成に向け、車両取得への支援や利用促進の取組を展開し、着実な成果を挙げられるよう取り組むと答弁しました。
第1次産業の振興に関して、農業施策については、「米生産の安定性の確保等」、「就農支援の見直し」、「農業・農村振興」、「畜産農業への支援」を質しました。
特に米価の大幅な下落や相次ぐ減反による米農家の生産意欲の低下への道の取組については、知事のトップセールを行うとともに、新米増量キャンペーンを実施するなどオール北海道での消費拡大を推進するとの答弁がありました。
さらに新規就農者への支援制度の見直しについては、全国知事会などと連携し、これまでの措置を継続するよう強く要望してきたところ。新規就農者対策に支障が生じないよう適正に対応するとの答弁がありました。
林業政策については、森林環境譲与税の有効活用、道産木材の安定供給について、さらに水産政策では、道東沿岸を中心に発生した赤潮被害への対応について質しました。
中でも赤潮の発生による被害額は11月19日現在で約80億円に及び、また、ウニは生産回復まで複数年要することから、国への強い働きかけはもとより、道も地域漁業を支える対策を拡充すべきとの指摘に対して、知事は、発生原因の早期究明と漁業被害の軽減に向けた対策を進めると答弁しましたが、ウニの被害については、「国への働きかける」と述べるに止まり、道としての具体的な取組には触れませんでした。
また、北海道人権施策推進基本方針の各部の計画や施策への反映の取扱いについて、推進本部(環境生活部)と各部の認識に温度差があることから、整理、調整の上、いつまでに反映作業を終了するのかを質しましたが、知事は、「可能なものから、鋭意取り組む」との含みを持たせた後ろ向きの答弁には、誠意が感じてられず全く不満です。
北方領土問題については、2年続けてコロナ禍を理由に四島交流事業が中止された中、北方領土を不法占拠するロシアは、大規模軍事演習の実施、一方的な「特恵制度」の導入など攻勢を強めていますが、現状の北方領土交渉の受け止めと政府への対応について質しました。
知事は、四島交流等事業が見送られたこに対して「極めて遺憾」と述べ、「交流等事業の早期再開や、領土交渉が具体的に進展するよう様々な機会に国に対して求めていく」との答弁がありました。
教育課題について、「いじめ問題への対策」、「医療的ケア児の支援」、「教職員の働き方改革」の3点について、知事及び教育長の見解を質しました。
いじめ問題について、知事は相談体制の充実や地域の支援体制の充実などをあらゆる機会を通じて、国に要望する。
また、教育長も知事と同様、国頼みの答弁に終始し、深刻さを増し、大きな社会問題となっているにも関わらず、主体的な見解は示されませんでした。
また、医療的ケア児への対応については、知事並びに教育長ともに研修会を通じた法の趣旨の周知と看護師など人材確保に言及しましたが、コロナ禍の中、医療従事者の確保は、極めて難しく、実質的にゼロ回答に等しい誠意のない答弁でした。
教職員の働き方改革に関しては、第2回定例会における答弁を踏まえ、在校等時間の公表の成果について質しましたが、教育長は、今年度内の公表数を明らかにしたものの、肝心の働き方の解決の成果については、保護者や関係者の理解の醸成に止まり、明確な根拠の言及はありませんでした。
採択された決議・意見書
(◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎北海道太平洋沿岸の漁業被害に関する意見書
◎私立専修学校等における専門的職業人材の育成機能の強化等を求める意見書
◎シルバー人材センターに対する支援を求める意見書
◎燃料価格安定を求める意見書
○地域における医療提供体制への十分な支援を求める意見書
当面する課題と対応
(1)新型コロナウイルス感染症対策について
道内の直近1週間(12月6日~12月12日)感染状況は、ワクチン接種の進展や感染対策の徹底が効果を上げており、市中感染の目安となる感染経路不明者の割合も低く、感染「第6波」の気配はまだ感じられません。
ただコロナ禍が終わったわけではなく、新たな変異株「オミクロン株」が世界中に拡大しており、道内にもいつ流入するのか分からないが、再拡大を防止するためには、日常的な感染予防策(マスク、手洗い、3密回避)の徹底が肝要です。
こうした中、第4回定例会の議会議論でも、コロナ収束後の施策展開で、知事は、感染拡大防止対策はもとより、社会経済活動の再開にも強い意欲を示しました。
言うまでもなく、我が会派は、道産食品の需要拡大や北海道観光の再構築といった経済の再生に異論がある訳ではありませんが、まずは「人への投資」、人の営みと希望が見える施策を重点的に展開するよう指摘してきました。
また、コロナ禍で顕在化した本道のリスクを回避し、あるいは課題の解決に導くための全庁横断的な推進体制(仮称 ポストコロナ戦略室)の創設を一貫して求めてきましたが、知事からは本定例会でも前向きな答弁は得られませんでした。引き続き、知事へは粘り強く求めて行くこととしますが、当面は新型コロナウイルス感染症対策では、「新たな指標への対応」、「3回目のワクチン接種」などの運用を、経済の再生については、「観光振興」、「第三者認証制度の普及」などの動向を、本会議及び予算特別委員会での指摘を踏まえ、注視していくこととします。
(2)米政策について
コロナ禍に伴う外食需要低迷や食文化の変化等により米価が大きく下落し、農家の経営基盤を揺るがし、米の生産者からは来年の営農に大きな影響が出るとの悲痛な叫びが上がっています。
会派は本会議において、今年の米生産に係る米価低迷に対する取組と減産拡大により米生産の安定性が損なわれることがないよう、政治的な配慮の必要性を知事に訴えてきました。
また、予算特別委員会においても、水田活用の直接支払い交付金の見直しについて、知事に認識を質してきました。
知事に対しては、コロナ禍の影響による需要減少相当分の在庫対策を確実に実施するとともに、こうした不安要素が新規就農者の意欲減退に繋がらないよう更なる取組と対策を強化するよう求めてきました。
また、水田活用の直接支払い交付金の見直しについては、懸念される影響を速やかに検証し、道として今回の案を見直すよう求めました。
これに対して道は、懸念される影響を検証するため、14日に連絡会議を開催し、「会議の中に、影響を深掘りするためのワーキンググループを立ち上げ、国へは地域の実情を訴えることに注力したい。生産者が将来に向けて意欲を持って営農できるよう取組む」と答弁しました。
連絡会議やワークンググループの今後の活動等を把握するとともに、道が取り組む施策が本道農業の活性化や体質強化に繋がっていくるのか、改めて知事を認識等を質す必要があります。
(3)赤潮被害への対応について
道東太平洋沿岸を中心とした国内過去最悪の赤潮被害について、政府は漁業対策として、本年度補正予算で14億円を計上し、道と市町村分も含めると支援総額は20億円となりました。複数年をかけ漁場再生などを行うとしています。
赤潮発生による漁業被害額は、11月19日現在約80億円と言われていますが、範囲は狭まっているものの、日高沿岸等ではタコやツブにも影響が出ており、今後、更に被害の拡大が大いに懸念されます。
とりわけ、被害が深刻なウニ漁については、稚ウニを海にまき、4、5年後の漁獲を見込む方式が多く、種苗確保や育成など切れ目のない支援が必要です。
今回の補正では、赤潮が発生した太平洋沿岸におけるウニ殻等の除去・処分、種苗の移植・放流などに財政支援が行われるとともに、全道域で赤潮原因プランクトンのモニタリング調査や赤潮発生予察手法の開発にも補助金が投入されます。
早期の手法の確立や情報を迅速に共有化する仕組みづくりに期待したい。
ただ、この度の赤潮では、壊滅的な被害を受けた家族経営の漁業者も多く、生活再建のための継続的な手当も求められる。国が「育てる漁業」重視するならば息の長い支援が大切であり、この度の赤潮では、壊滅的な被害を受けた家族経営の漁業者も多く、生活再建のための継続的な手当も必要です。
仮に支援が一過性となるならば、当該漁業者に止まらず、水産加工業などの関連産業や観光業にも大きな打撃となります。
引き続き、道議会の場でも、国への要請強化などを求めていきます。
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