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第2回定例道議会閉会

IMG_39916月22日(木)第2回定例道議会が開会しました。
7月14日に開会した道議会は、本日令和5年度一般会計補正予算、「地方財政の充実・強化に関する意見書」などを可決し閉会しました。

IMG_4141代表質問には、梶谷大志議員(札幌市清田区)議員会長が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、知事公館・近代美術館エリア、医療・福祉課題、経済と雇用対策、観光振興、エネルギー政策、防災・減災、JR路線維持問題、第1次産業の振興、性的マイノリティーに関する施策、教育課題について質しました。

 

第2回定例会に提案された補正予算は、新規予算や継続事業の拡充など、政策的判断が必要となる経費、いわゆる「肉付け予算」で、予算規模は2,776億円です。

 骨格予算だった当初予算と価格高騰等経済対策の補正予算と合わせた一般会計の総額は3兆1,517億円となりました。本道は、3年にも及ぶコロナ禍からようやく立ち直る兆しが見えてきた予先に、長期化するウクライナ情勢や円安による燃油や資機材の高騰が事業者や道民の日常に深刻な影響を及ぼしました。

IMG_4143 知事は、道政執行方針の中で「エネルギー」、「デジタル」、「食」を重要政策に掲げ施策に取り組むとしました。しかしながら、最も重要と考える少子化対策には、国の少子化対策に沿った「既婚者」向けの施策に偏重していないか。合計特殊出生率は、昨年、1.12と5年連続で減少し、全国の1.26を下回ります。人口減少が続けば、産業振興もままならないのは明白です。賃金の上昇や処遇改善、学生の道外流失を防ぐような若い世代を後押しする政策が必要です。

 また、知事は政策展開について「地域と進める」と述べましたが、市町村との連携は、信頼関係に翳りが見え「道庁スルー」も散見します。例えば「JR北海道路線維持問題」は複数の市町村が関係します。知事がリーダーシップを発揮し、道民を代表してしっかりその役割を果たすべきです。

 北海道を取り巻く情勢は、ラピダスの進出のような明るい話題ばかりではありません。「泊原発再稼働」や「放射性廃棄物最終処分場問題」なども遠からず一定の判断が求められる時期が迫っています。知事が看板政策にのみ前のめりにならぬよう、今後も真に「道民に寄り添った」道政の実現に向けて、議会議論などを通じて追求を強化しなければなりません。

 

 

主な審議経過について

 

 知事が提案した政策補正予算は、一般会計に2,776億円を追加し、一般会計当初予算(2兆8,507億円)や臨時道議会で可決された物価高騰等経済対策に係る一般会計補正予算(233億円)と合わせた令和5年度一般会計予算の総額は3兆1,517億円(前年度当初比▲2.3%)となりました。今回の補正予算の新規事業は88件であるものの、食の海外販路拡大など既存の施策をリフォームしたものも多く新味に欠ける予算となりました。

 一方で、道の財政運営は、借金に当たる道債に頼る体質からの脱却は未だ果たせず、財政規模に占める返済額の割合を示す実質公債費比率は今回の補正時点で18.9%と47都道府県で最悪水準となっています。2026年度には、22.6%と試算されており、財政破綻が危ぶまれる早期健全化基準(25%)に迫る見込みです。財政難が続く中、ラピダスへの支援や人口減少対策など、主要な施策の多くは比較的小規模な事業内容に止まっています。

 2期目も見た目以上に前途多難な道政運営にどう対峙し、その解決を図るのか、まずは「政治姿勢」、「公約の実現」、「道政執行方針」について質しましたが、答弁では、1期目の反省などには一切触れず、「公約に掲げた基本政策の実現に向けて、全力で取り組む」と意気込みを繰り返すのみに終始しました。また、選挙期間中、知事が訴えてきた「北海道の価値を押し上げる」の真意について、自身の思いを自らの言葉で答弁するよう求めましが、知事は、「北海道の価値を押し上げ、地域と共に、未来へと続く確かな道を切り拓く」との具体性に欠ける答弁を繰り返しました。さらに、「応援団第二章」で地域おこし協力隊を巻き込んだ取組の目指す先にある姿を質したところ、知事は、「市町村と協力隊が行う取組と企業の知恵や資源のマッチングを行い、新たな連携を創出し、地域課題の解決を促進する」と答弁しましたが、理念先行で具体的な内容には言及がありませんでした。専任職員を6名も配置したものの、現時点での事業内容は、ホームページの開設や研修会の開催のみ、市町村との役割分担も不明確で、目指す先はほとんど見えないままです。知事は、本施策が既存組織の活動を阻害しないよう、「ねらい」を明確化した上で、慎重に取り組むべきです。

 次に行財政運営に関して、これまでと変わらない自転車操業の財政運営が続きそうな状況下において、2期目の財政運営をどう進めるのか質しました。知事の答弁は、道財政が厳しい状況にあるとの認識は示すものの、「今年度中に収支見通しを精査し、必要な対策を検討する」に止まりました。「今から検討する」で道財政の健全化は大丈夫なのか。財政の悪化は、緊縮予算を強いられ、そのしわ寄せは当然、道民生活に及ぶのは必至です。知事は、実効性のある財政健全化に向けた対策を早急に講じる必要があります。

 新型コロナウイルス感染症対策については、5日8日に感染症法上の位置づけが「2類相当」から「5類」に移行となりましたが、全国の感染者は、緩やかな増加傾向にあります。早急に検証を行い、感染の再拡大に備える必要があると質しました。知事は、道民へアンケート調査を実施し、その結果を踏まえ、検証を行い年内を目途に「今後の対応の方向性」を示す。と答弁したことから、再び混乱や不安を招くことがないよう、スピード感を持って取り組むよう、再度、質しましたが、「年内を目途」の姿勢は崩しませんでした。

 少子化対策については、子育て支援に加え、若者対策を重点的に取り組む必要があると知事の所見を質しましたが、最後まで国の政策に追随した考えを示すに止まり、自らの決意や考えを語ることはありませんでした。

 経済対策では、物価高騰対策については、中長期的な視点での住民や事業者に寄り添った支援を行うよう迫りましたが、知事は「道民の皆様や中小・小規模事業者の方々の声を丁寧に把握し、今後とも適切に対応する」と答えるに止まりました。また、北電の電気料金値上げに対しては、影響を把握した上で、痛みを軽減する支援策を講じるべきと質したものの、知事は、「国の政策動向を注視し、道民生活や地域経済への影響を把握しながら、その緩和に向けて努める」と厳しい財政事情はあるにしても、国頼みの姿勢が垣間見え、道民に寄り添った道政とはほど遠く、極めて不満な答弁でした。さらに、ラピダス社の千歳市への進出は、連日、期待を抱かせるような情報だけが一人歩きし、果たして先行きはどうなのかビジョンが曖昧なままです。懸念や不安を払拭する道民の理解促進、実態調査の公表及び取組方針の策定をどう進めるのか質しましたが、知事は、「事業の進捗状況に応じたセミナー等の開催と今後の取組指針を年内を目途に取りまとめる」と自身の前のめり具合とは裏腹にスピード感に欠ける答弁に止まったことから、同社の進出による効果を全道に波及さるための道としての対応、役割などについて、更に追求しましたが、最後まで具体的な内容等には触れず「取組指針を取りまとめた上で、目指す方向性を道民に丁寧に説明する」と極めて不誠実な答弁に終始しました。ここでも、自身の考えを自らの言葉で述べることはありませんでした。物流の2024年問題について、どのように対応して行くのか質しましたが、支援制度の拡充を国に要請など関係者と一体となった取組を進める」との答弁を繰り返したことから、危機感とスピード感を持って対応すべきと強く指摘しました。

 観光振興については、「観光振興機構の機能強化」「観光振興税」などを質しました。

 エネルギー政策では、「泊原発再稼働」に関して知事は、これまで「予断を持って申し上げる状況にない」との答弁を繰り返してきました。不安を感じる道民も少なくない、規制委員会の審査は、確実に進んでいる中で、自分の考えを示さないのは、理解に苦しむと「自らの考えを示すよう」再三、質しましたが、従前と一言一句変わらない答弁に終始しました。知事は、議会において真摯に議論する気概が感じられず極めて不満です。また、目玉施策であるゼロカーボン推進基金の創設については、道民や自治体へ『ねらい』や『使途』などを丁寧に説明するべきと質しましたが、「ゼロカーボンの達成に向け効果的に活用する」と具体的に踏み込んだ内容に触れることなく、概念的な答弁に終始しました。

 次に防災・減災対策のうち、とりわけ「雪害対策」と「地震・津波対策」について質しました。雪害対策は、「道民が安全・安心な冬の暮らしの確保と社会経済活動の維持に取り組む」、また、地震・津波対策については、「避難計画の作成や避難訓練の支援を専門家の派遣や市町村の防災力強化への財政支援に取り組む」とそれぞれと答弁しました。

 JR路線維持問題は、これ以上の路線縮小を防ぐため、道としての役割をしっかり果たすよう質しましたが、知事は、「鉄道ネットワークの重要性を国へ強く訴えながら、その維持・活性化に向けて取り組む」と国次第と言わんばかりの答弁だったことから、「道内鉄道を廃止させない、しっかりと残して行く」との決意を示すべきと強く指摘しましたが、前向きな発言は一切ありませんでした。

 第1次産業の振興については、苦境が続く酪農事業者への支援、肥料・飼料・生産資材の高騰対策、食料安全保障対策、林業政策、赤潮による漁業被害への継続的支援、ALPS処理水の処分について質しました。とりわけ酪農支援に関しては、「緊急支援」(牛乳贈答券)も開始当初、システムの不具合により発送に遅延が生じたことを指摘するとともに、消費拡大に向けて反復した啓発活動の実施を質しましたが、「酪農家の皆様が将来にわたり、意欲を持って営農を続けられるよう取り組む」と深刻な実態を真に承知しているのか首を傾げたくなる答弁でした。また、食料安全保障対策では、為替や国際的な要因に左右されにくい本道農業の確立について質したものの、知事は、「外的要因に左右されない体質強化を図り、我が国の食料安全保障の強化に最大限貢献する」との発言にとどまりました。ALPS処理水の処分に関しては、道内漁業者が築き上げてきた信頼と信用を無にしないため、国に再検討を求めるべきと指摘したことに対して、「粘り強く国に対応を求める」と答えるに止まり、主体的に取り組む姿勢は見せませんでした。

 性的マイノリティーに関する施策については、国のLGBT理解増進法が成立したことを踏まえ、知事がリーダーシップを発揮し、理解促進に向けて自らの考えを積極的に発信するべきと指摘しましたが、頑なに従来からの答弁を繰り返すに止まりました。ここでも自身の考えを語ることはありませんでした。

 最後に教育課題のうち、給食費の無償化、教員業務支援員・学習指導員の配置、欠員の要因と改善策の3点について質しました。無償化に関しては、知事及び教育長とも「学校給食に係る補助制度の充実を国に要望する」と答弁しました。支援員・指導員の配置に関しては、教育長が「サポートスタッフの配置の拡大や財政措置の拡充を国に強く要望する」、また、欠員の要因と改善策に関しては、教育長が「教員の働き方改革の加速化と様々な手立てを講じて職員の確保に全力で取り組む」と答弁しました。いずれも課題の解決が期待できるような内容ではなく、極めて不満な答弁でした。

 知事の答弁は、最後まで自らの考えを自らの言葉で語ることなく、総じて具体性に欠け、また、自身が知事選で訴え続けてきた「道民のいのちと暮らしを守る」、「北海道の価値を押し上げる」をどう実現するのかが、議会審議の中では、まったく見えてきませんでした。極めて不誠実な答弁や当を失する予算配分などを踏まえ、会派は、令和5年度一般会計補正予算案については、「組替えを求める動議」を提出し反対しました。

 

 

 

採択された決議・意見書

                     (◎は政審・会派発議、○は委員会発議)

◎地方財政の充実・強化に関する意見書

◯薬剤耐性菌感染症の蔓延防止への取組体制の強化を求める意見書

◯ゼロカーボン北海道の実現に資する森林・林業・木材産業施策の充実・強化を求める

 意見書

◯国土強靭化に資する道路の整備等に関する意見書

◯義務教育の機会均等の確保と教育予算の確保・拡充を求める意見書

◯私学助成制度に係る財源措置の充実強化に関する意見書

◯特別支援学校・学級等への教員等の適切な配置を求める意見書

 

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