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2023-10-06
第3回定例会閉会
- 2023-10-06 (金)
- ささだブログ
10月6日(金)第3回定例道議会が閉会しました。
9月12日に開会し令和5年度一般会計補正予算、「子ども関連施設の暑さ対策に関する意見書」などを可決して今日閉会しました。
代表質問には、会派幹事長の池端英昭議員(石狩地域)が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、医療・福祉課題、経済と雇用対策、エネルギー政策、交通政策、第1次産業の振興、人権施策等、北方領土問題、重要土地等調査法、教育課題について質しました。
主な審議経過について
知事は、開会日の12日、東京電力福島第1原発から放出された処理水による中国の水産物輸入停止に伴う道産水産物の消費拡大策や物価高騰対策を柱とした総額396億円の一般会計補正予算案を提出した。補正予算案には、電気料金高騰の影響を受ける中小・小規模企業に対する支援に4億9600万円、宿泊事業者が省力化・省エネルギー化のための設備導入に対する支援に12億8200万円なども盛り込んだ。今回の追加補正予算と合わせた令和5年度一般会計予算の総額は、3兆1912億円となった。
なお、12日本会議の冒頭において、中国に禁輸措置の即時撤廃や、水産関係者の損失への速やかな対応などを国へ求める「ALPS処理水の海洋放出に伴う影響への確実な対応を求める意見書」を可決した。
審議経過について、まず、知事の政治姿勢では、新たな「北海道総合計画」の策定に当たって、これまでの道政に対する評価、策定の考え方について知事の認識を質したが、「現計画の進捗状況を踏まえ、実効性の高い政策を検討し、次の定例会で計画の素案を示す」と述べるに止まり、これまで自ら推進してきた道政への評価には一切触れなかったのは、極めて不満である。人口減少問題については、根本的な原因を踏まえた上で、次期「北海道創生総合戦略」に明確なビションを示すとともに、ビジョン達成に向けた効果的施策の検討を求めたが、人口減少対策が「道政上の最重要課題との認識の下、効果的な施策展開が図られるよう検討を進める」と、誰が考えてもそうであるべきだと思うことしか語らず、全く本気度が伝わらない答弁だった。
行財政運営については、厳しい財政状況での財源確保とともに、電通北海道の過請求では徹底的な調査、検証と、再発防止策について知事を質したが、「結果として、過請求を確認できなかった」として、本事案における道としての責任の所在には触れず、再発防止策を淡々と述べるに止まった。また、道有財産の売却方針について、改めてプレスト1・7に関するこれまでの経過並びに道の方針と今後の進め方を質したものの、今回の議案提出に至った経過に対する明確な説明はなく、今後についても「適時適切に対応する」と述べるに止まり、誠実さを欠く答弁となった。
医療・福祉課題では、五類移行後の新型コロナウイルス感染等への対応、医師の働き方改革、障がい者就労支援と経済的虐待等、子ども子育て施策、8050問題、学童保育における昼食提供について知事の所見を質した。とりわけ、子ども子育て施策に関しては、重点施策に掲げられた「子ども応援社会の実現」に向けどのように施策を実施するのかを質したが、「安心して子どもを産み育てることができるよう、社会全体で子育てを支える子ども応援社会の実現を目指す」と決意表明を繰り返し、それをどのように実現するのかについては言及がなかった。人口減少問題ともリンクする重要な課題であるにも関わらず、本件に関する知事の熱意がまったく伝わらない答弁に終始した。
経済と雇用対策では、物価高騰対策をはじめ、ラピダス進出に伴う課題、新税(観光振興税)の導入、北海道雇用・人材対策計画、カスタマーハラスメント対策について質した。物価高騰対策では、対策の予算執行状況にバラツキが散見し、政策ニーズをしっかり把握した支援となっていないこと、必要な支援が必要とする方に届いてないことを指摘し、今後の対応を質したが、「道民や事業者の声を丁寧に把握し、施策の着実な検討に向け、取り組む」と述べたが、今後の対策にいささか不安を残す不誠実な答弁に終わった。観光振興を目的とした新税(観光振興税)の導入については、納税者への納得と理解を深化させるための具体的な手法やスケジュールを質したものの、「理解と納得感を深めてもらうよう、丁寧に対応する」と述べるに止まり、踏み込んだ発言はなかった。さらに、「北海道雇用・人材対策基本計画」に関連して、多様な働き手の労働参加、外国人労働者の雇用、カスタマーハラスメント対策を質した。特に、人手不足の中、人権意識の希薄な事業者に対して計画内容を浸透させる取り組みでは、「セミナーの開催を通じて、関係法令の周知や法令遵守に努める」と実効性が問われるような答弁に止まった。
エネルギー政策では、関連する諸課題のうち、ゼロカーボン北海道推進基金、高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題、ALPS処理水に関する課題について質した。最終処分場選定問題では、核抜き条例を踏まえ、国へ最終処分地としないよう確約を得るべきと質したが、「概要調査に移行の際は、条例制定の趣旨を踏まえ、現時点では反対の意見を述べる考えである」と従来からの答弁を繰り返すに止まった。ALPS処理水放出による影響に関しては、放出による影響、水産分野への対応及び今後の対応について質した。影響と今後の対応について、「国に対して風評被害の防止及び影響の抑制、発生した場合の対策などを国に再三、要望したところ」、「風評被害は、国の責任において、機動的な対策を講じることが必要」と国頼みの姿勢を強調した。
交通政策については、様々な問題がある中、貨物路線の維持、バスの運転手不足、並行在来線に関して質した。このうち、貨物路線の維持については、「引き続き、国と連携のもと、検討会議を立ち上げ、最終的な検討を得られるよう課題の解決方策の検討を進める」と答弁したが、立ち上げ時期の明言はなかった。JRの路線維持問題をはじめ、バスの運転手不足など交通政策全般に関して、道としての主体性が見えず、腰が引けてる印象が否めないことから、課題の解決と広域自治体としての調整役を果たすよう、指摘した。
第1次産業の振興について、農業政策では、酪農政策と担い手不足対策を、森林政策では、胆振東部地震に伴う森林復旧を質した。このうち、厳しい状況にある酪農家の方々への支援等については、「自給飼料の生産拡大、家畜の暑熱対策に関する技術指導とともに、消費拡大など、将来にわたり意欲を持って営農できるよう施策を推進する」と答弁した。
人権施策等に関しては、人権配慮企業登録・紹介制度及びLGBT理解増進法成立後の課題について質した。このうち、LGBT理解増進法成立後における事業主や道民の理解促進に対する具体的な進め方に関して質したが、「性の多様性を理解し認め合う職場づくりに取り組むとともに、理解と適切な配慮の輪が広がるよう取り組む」と従前と変わり映えしない答弁に止まった。
北方領土問題では、北方墓参の早期再開と、国際社会の支持・支援拡充について、質した。さらに、重要土地等調査法では、法に基づく「特別注視区域」の指定に伴う道民の不安解消への取り組みについて質したが、知事は、「法に基づく調査や規制は、国において適切に運用が図られるものと考える」と、道はまったく無関係かのような答弁を繰り返したことから、全てを国任せにするのではなく、道が主体的に道民の安全安心、不安払拭に対応するよう、強く指摘した。
山積する教育課題のうち、熱中症対策、北海道学校教育情報化推進計画、働き方改革について質した。このうち、熱中症対策については、今夏の災害とも呼べる猛暑が続いたことから、児童、生徒の生命と学習権保障の観点から、早急に学校の教室等にエアコンなどの冷房設備の導入を知事並びに教育長に求めた。これに対して知事並びに教育長はともに、「国への支援策の要請を行い、その活用を図りながら、可能な限り設置できるよう検討を進める」と、これも国次第と言わんばかりの危機感も、スピード感も感じられない不誠実な答弁となったことから、既にエアコンの設置を断行した自治体もあることから、全ての学校施設等に遅滞なく冷房設備を整備するよう、指摘した。
また、学校における働き方改革については、改革が進まないことが、教職員の確保にも悪影響を及ぼしかねないと指摘した上で、可能な限り負担軽減策を講じるとともに、テレワークの積極的導入など新たな取り組みが必要であると、教育長の所見を質したが、「国の動向を注視し検討を進める」との答弁に終始したことから、長期休業中のテレワークの積極的実施などできることから順次、進めるよう、強く指摘した。
採択された決議・意見書
(◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎ALPS処理水の海洋放出に伴う影響への確実な対応を求める意見書
◎子ども関連施設の暑さ対策に関する意見書
◎精神障がい者に対する公共交通機関の運賃割引制度の適用を求める意見書
◎刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書
◯ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)に対する適正な診療上の評価等を求める 意見書
◯北方領土問題の解決促進等を求める意見書
学校施設等への冷房設備整備の促進に係る緊急要請について
定例会中の9月25日(月)には会派として知事及び教育長に「学校施設等への冷房設備整備の促進に係る緊急要請」を実施しました。
内容は、次のとおり。
学校施設等への冷房設備整備の促進に係る緊急要請
北海道においては、地球温暖化の進展により、今夏は、かつてない猛暑に見舞われ、8月24日には、全道域に熱中症警戒アラートが発出されるなど、真夏日が40日以上続き、観測史上最長を更新しました。
文部科学省の「空調設備設置状況について」(令和4年9月1日現在)によれば、全国の小中学校普通教室の設置率が95.7%であるのに対して、北海道は16.5%にとどまっており、このため道内の各学校では下校時間の繰り下げや、暑さによる臨時休校といった措置を執らざるを得ない、命に関わる危険な状況となりました。
つきましては、子どもたちの命と健康を守り、学習権を保障するため、小中学校及び義務教育学校等(幼稚園を含む)、保育所や認定こども園、児童館、放課後児童クラブ、高等学校、特別支援学校、学生の宿泊施設など子どもの居住する空間における冷房設備の設置と併せて、電力容量の拡大等に対応するための施設整備など、速やかに市町村等の実態に沿った対策を講じるための十分な財源確保と、地方負担軽減を図るための補助率の引き上げや各事業採択の迅速化についての国への要請を強化するなど、実効ある熱中症対策を講じられるよう緊急に要請いたします。
当面する諸課題について
道民や事業者を取り巻く課題は山積している。今定例会で取り上げ指摘・追及してきた諸課題については、知事並びに教育長からの答弁内容の実効性をしっかり見極め、齟齬などが生じた場合には、改めて、本会議や委員会の場における真摯な議論を通じて、道当局の責任と所要の対策を追及していく。
記
<主な課題のポイント>
►物価高騰対策について
物価高騰・円安が長期間に及ぶことで、深刻な打撃を受けている道民生活や地域経済の現状を踏まえ、補正予算に計上された対策事業の速やかな実施とともに、議会議論を踏まえ、今後、国が今月末を目途に取りまとめる経済対策に機動的に対応できるよう十分に備えつつ、本格的な冬の到来の前に改めて実効性ある施策を講じるべきである。
►ラピダスの進出に伴う課題について
ラピダスの進出に地元(千歳市)はもとより、道央圏を中心に期待は膨らむが、一方で、デジタル人材の確保、道央圏への人材の集中、取排水施設などのインフラ整備などクリアしなければならない課題は少なくない。課題の早期解決に向けた方向性などを示すとともに、「北海道半導体関連産業振興ビジョン」の策定にあたっては、将来的に道内全体へ開業の効果を波及させる観点を打ち出すなど、道民の理解と納得を得られるものとすべきである。
►観光振興を目的とした新税について
道が導入を検討している新税について、有識者懇談会や独自の税導入を検討している自治体における議論が先行する中で、道民の理解や納得を得るためのプロセスが疎かにならないよう、道として最大限配慮するとともに、その目的や使途等への道民の疑問に、知事自ら説明責任をしっかり果たすべきである。
►ALPS処理水の海洋放出による影響について
ALPS処理水の海洋放出を受けた中国による日本産水産物の輸入停止措置により、道内では漁業関係者はもとより、食品加工業、流通などにも深刻な影響が生じていることから、国内での消費拡大や、中国以外の地域への輸出販路の確保をしっかりと図るとともに、今後も各業種への影響を随時把握し、国への要請も含め道庁全体で万全の対策を講じるべきである。
►道有財産の有効活用について
プレスト1・7の信託契約期限の1年間延長について、受託行から再延長はないとの条件が付されていることから、将来に禍根を残さぬよう、不動産市況や賃貸事業経営のリスクなどを速やかに検証し、根拠となる価額を具体的に示した上で、知事の最終的な方針を明らかにするなど、再度の遅延により道民の信頼を損なわぬよう、適切に取り組むべきである。
このほかにも人口減少問題をはじめ、道の行財政運営、子ども子育て問題、いじめ・自殺の予防、ヒグマ対策、JR路線維持問題、防災・減災、第1次産業の振興など課題は山積していますが、引き続き、我が会派は、各自治体のみなさまとも連携を密にし、道民や事業者の方々に寄り添った政策の実現に向けて全力を尽くしていきます。
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