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第4回定例会閉会

12月14日(木)第4回定例道議会が閉会しました。
第4回定例道議会は、11月28日(火)に開会し、令和5年度一般会計補正予算、「防災・減災、国土強靭化対策のさらなる推進を求める意見書」などを可決し、12月14日(木)に閉会しました。
代表格質問には、松山丈史議員(札幌市豊平区)が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、医療・福祉課題、経済と雇用対策、観光政策、エネルギー政策、交通・物流政策、環境政策、第1次産業の振興、多文化共生、教育課題について質しました。

1 主な審議経過について
知事は、一般質問3日目の5日、物価高騰に対応した追加経済対策費145億2,000万円を盛り込んだ総額1,791億1,300万円の一般会計補正予算を提案しました。追加経済対策の主な事業としては、子育て世帯を対象とする「お米券」や「牛乳贈答券」の支給事業として29億4,700万円、LPガス利用者に1契約当たり2,000円を補助するLPガス利用者緊急支援事業費補助金に、28億2,800万円、中小企業の省エネ設備やデジタル技術の導入支援に、23億6,500万円、バス・タクシー、運送事業者に車両1台5,000円~2万2,000円を支給する事業に、10億7,700万円を計上しました。
また、一般施策分では、熱中症対策として、道立高校と特別支援学校の空調設備等の設置に26億4,300万円を充てました。
補正後の令和5年度一般会計予算の総額は、3兆3,811億円となりました。
なお、これより先、開会日の11月28日に、継続的・安定的に防災・減災、国土強靭化の取り組みを進めるため、必要な予算・財源の確保を国に求める「防災・減災、国土強靭化対策のさらなる推進を求める意見書」を可決しました。
審議経過について、まず、知事の政治姿勢では、「今後の道政運営」、「政策判断」、「政府の経済対策の評価等」、「地方分権の推進」、「北海道総合計画」、「知事の情報発信戦略」について質しました。
地方分権の推進では、消極的な姿勢を示したことから、役割分担の見直しと国からの権限・財源の一体的な委譲を進めるべきと指摘しました。また、北海道総合計画については、具体的なロードマップの作成を求めたが、計画のめざす姿を示しているとして、作成には言及しませんでした。また、政府の経済対策への評価等については、「幅広い道民ニーズを把握の上、真に支援が必要な人に支援が届く仕組みの構築」と「お米券・牛乳贈答券支給事業など手上げ方式ではなくプッシュ型で実施するよう」追及しましたが、知事は、様々な方法により実情把握に努め、国の交付金も活用した追加対策を早急に取りまとめるとの答弁に止まりました。
行財政運営では、「財政運営」、「納税証明書の交付」、「生成AIの試行」について知事の所見を質しました。このうち財政運営では、持続可能な財政運営の確保は知事の責務であると知事の考え方を質しましたが、財政健全化を計画的に取り組むとこれまでの答弁を繰り返すに止まりました。また、道への許認可申請等に係る納税証明書の添付の廃止に関しては、手続きの簡素化を検討すると具体的な取り扱いには触れませんでした。
医療・福祉課題では、「産後ケア事業」、「新型コロナウイルス感染症対策の検証」、「医薬品の供給不足への対応」、「医師不足への対応」、「シグマスタッフによる過請求事案」の5点に絞って知事の見解を質しました。
新型コロナウイルス感染症対策の検証では、検証を踏まえた今後の「対応の方向性」と社会経済活動の停滞を最小限度に抑えた感染対策に対する知事の考え方を質しましたが、今後、道が策定する各種計画に「対応の方向性」を踏まえた具体的な取組を反映し、新たな感染症危機に備えると答弁しました。また、シグマスタッフによる過請求事案については、告発等に関する道の判断の遅れを指摘した上で、再発防止に向け、実効あるペナルティを検討すべきと知事の考え方を質しましたが、告発については、早急に関係機関と協議するとの答弁に終始しました。また、不正に対する対応は、関係規定に基づき、その行為に応じた措置を厳正に行うと述べるに止まりました。
経済と雇用対策については、「北海道半導体関連産業ビジョンの将来像」、「人材の確保」、「観光政策」について質してきた。
「北海道半導体関連産業ビジョン」では、本道全体の経済活性化につながるビジョンとすべきと提起しましたが、本道経済全体の状況をあらわす具体的な目標値の設定を検討中との答弁が返ってきました。また、人材確保のうち海外人材の誘致について知事の考えを質したところ、本道の充実した生活環境の魅力など海外に向けたPRに取り組むと時期や期限などいつもながら具体性に欠ける答弁でした。さらに「観光政策」では観光振興を目的とした新税の導入の必要性について質しましたが、具体的な使途や税制度については、市町村と調整を図りつつ、道議会等での議論を踏まえ、検討を進めるとして、具体な内容に応えようとしませんでした。
エネルギー政策では、「セロカーボン北海道の推進」、「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」の2点について知事の所見を質しました。
このうち、セロカーボン基金の今後の活用について質しましたが、単年度20億円程度を事業の財源に充当するとしましたが、充当事業の妥当性、達成すべき目標との整合性など踏み込んだ内容に関する答弁はなかったことから、削減目標との関係性の明確化や再エネ利用促進とそれ以外の取組への基金充当における配分割合など明示するよう強く指摘しました。
交通・物流政策では、「バス運転手不足に伴う減便・廃止に対する対策等」、「JR北海道の路線維持」、「物流分野における2024問題」について知事の考え等を質しました。
このうち、「バス運転手不足に伴う減便・廃止」については、道としてバス路線の維持に向けた取組をしっかり構築すべきと質したところ、知事は、運転手確保など地域交通の確保に向けた取組を推進するとの誰が考えても当然な答弁しか返ってきませんでした。また、JR北海道の路線維持については、「持続可能な鉄道網の確立に向けて、道が地域の実情を把握し、国に求めることは求めるといった強い姿勢で、役割を果たすよう」指摘しました。
物流分野における2024年問題については、知事自ら、道民全体に2024問題への協力を求めるピアールしてはどうかとの提案に対して、「これまでもホームページの掲載など道民への啓発活動を行ってきた。道は、引き続き、安定的かつ効率的な物流ネットワークの形成に取り組む」と従来の域を出ない答弁となりました。
環境施策については、ヒグマ対策について、今後の対策の進め方や市町村に対する財政的支援に関して質しました。
知事は、「ヒグマ管理の方向性を示す管理計画の充実に向けた見直しを進め、対策の強化に取り組むとともに、国に対して新たな財政的・技術的支援制度の創設を求めている。」と答弁しました。さらに踏み込んで道民の安心・安全の確保については、「ヒグマ管理計画の見直しを早急に進め、ヒグマ管理の方向性を示したい。」と同じ答弁を繰り返すに止まりました。
第1産業の振興について、農業政策では、「水田活用の直接払交付金や重要施策の見直し」、「高病原性鳥インフルエンザ対策」、「みどりの食料システム戦略」、林業政策では、「ナラ枯れ」、水産政策では、「海洋環境の変化に応じた北海道漁業のあり方」について、それぞれ知事の所見を質しました。
水田農業の振興については、水田の生産能力の強化と稲作経営の安定に向け、必要な制度の継続や予算の確保を国に求めると答弁しました。また、高病原性鳥インフルエンザの対応については、養鶏場の分割管理導入への支援を質したところ、知事は、道として、国のマニュアルによる丁寧な指導や導入時の支援制度の情報提供などに努めると答弁しました。
多文化共生について、今後、本道の外国人住民人口の増加を踏まえ、多文化共生への取組について質しました。
これに対して知事は、外国人の方々が安心して暮らせる多文化共生社会の実現に向け取り組むと常識的な範囲での答弁に止まり、不満な内容でした。
教育課題については、「暑さ対策と夏休みの延長」、「ICT機器の更新」の2点に絞って、知事ないしは教育長の認識等を質しました。
とりわけ今夏、猛暑に見舞われた全道各地では、学校における暑さ対策が喫緊の課題であることから、夏休みの延長と併せてどのように取り組むのか考え方を質しました。教育長は、市町村教育委員会に対してあらゆる機会を活用して学校における暑さ対策を丁寧に説明するとともに、子どもたちの健康や安全への配慮を進める。道立学校等の空調設備の整備は、国の支援策を活用し、可能な限り、整備できるよう早急に検討を進めると答弁したことから、夏休み延長のメリットを研究、周知すべき、空調設備の整備も早急に方針を示すよう再度、追及しましたが同じような答弁を繰り返すに止まりました。

2 採択された決議・意見書
(◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎防災・減災、国土強靭化対策のさらなる推進を求める意見書
◎私学専修学校等における専門的職業人材の育成機能の強化等を求める意見書
◯将来にわたり安全・安心な医療制度の提供を求める意見書
◯認知症との共生社会の実現を求める意見書
◯食品ロス削減への国民運動のさらなる推進を求める意見書

3 当面する課題と対応
(1)知事への緊急要請について
会派が、11月27日(月)に知事に提出した「デフレ完全脱却のための総合経済対策に係る緊急要請」の内容は、次のとおり。

デフレ完全脱却のための総合経済対策に係る緊急要請

物価高騰が道民や事業者に与える影響は、ウクライナ情勢の長期化に加え、適正な価格転嫁・賃上げが社会全体へ波及するまでに一定の期間を要することや、幅広い業種での人手不足感の高まり、また、中国の禁輸による深刻な影響などにより、当面の間、続くことが予想される。
こうした厳しい状況にある日々の暮らしや地域における経済の現状を踏まえ、国は「物価高から国民生活を守る」ための対策をはじめとする5つの柱で構成された事業規模37.4兆円程度の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定した。道としても、この対策を踏まえ、事業の早期執行に向けて予算化に努め、物価高にきめ細かく対応しながら、本道の社会・経済活動の活性化に向けて強い決意をもって取り組まなくはいけない。

その上で、限りある資金を有意義に活用するため、道民や事業者に必要とする支援や対策が迅速に行き渡るよう取り組まれたい。

また、道民や事業者のために講じた対策も、有効な情報が十分届いていない実態が散見される。あらゆる媒体を通じて、有益な情報が全ての道民や事業者に伝わるよう情報発信に一層の創意工夫をされたい。

加えて、事業を担う受託者による不適切な会計処理が、相次いで発覚し、道民の事業執行への不信が広まっている。目的を逸脱することなく、適正に執行するため、道としても責務をしっかり果たされたい。

(2)当面する諸課題に対する知事の政治姿勢について
知事の2期目就任から半年以上が経過した。ラピダスの千歳市進出に一時期沸いたものの、全道への経済的な波及効果がイメージできず、建設産業の人手不足の顕在化など負の側面が目立ち、当初の勢いは影を潜める。もともと全国を上回るスピードで進む人口減少をはじめ、北海道が抱える課題は、多岐にわたる。そこに真摯に向き合うべきだ。
道民から高い支持を受けて選ばれたからには、政策実現に向け強いリーダーシップを発揮すべきだ。知事は、切実な問題を直視し、市町村や関係団体と膝詰めで向き合う姿勢を示すべきだ。
山積している課題のうち、観光振興を目的とした新税の導入、或いは、JR北海道の路線維持問題や、北海道新幹線の並行在来線の存続、公共交通を維持するための運転手不足の解消、また、高レベル放射性廃棄物最終処分場の選定、北海道電力泊原発の再稼働など、市町村をまたぐ広域的な課題に北海道の関与は必定だ。本来は、広域自治体のトップとして、市町村や関係団体との間で利害関係が錯綜した場合には、調整役が求められるが、情報発信戦略などと比較すると、知事の姿は、そうした役割に対して消極的に映る。
現時点では道民にとって有意義な実績は乏しいと言わざるを得ない。日和見的な道政では、知事が公約で掲げた「北海道の価値を押し上げ、確かな未来を創造する」は到底叶わない。批判を受けても、政治家として何を成したいのかをしっかり、かつ丁寧に道民へ伝えるべきだ。

以 上

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