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2024-07-05
第2回定例会閉会
- 2024-07-05 (金)
- ささだブログ
7月5日(金)道議会閉会。
第2回定例道議会は、6月18日(火)に開会し、2024年度一般会計補正予算案、「航空機燃料の安定的な供給体制の構築を求める意見書」などを可決し、7月5日(金)に閉会しました。
代表格質問には、畠山みのり議員(札幌市南区)が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、防災・減災、医療・福祉課題、経済と雇用対策、空き家対策、エネルギー政策、観光振興を目的とした新税、交通・物流政策、環境政策、第1次産業の振興、パートナーシップ制度、北方領土返還要求運動等、教育課題、SNS起因の犯罪被害者への対策、警察署の統合・再編について知事、教育長及び警察本部長の所見などを質しました。
1 主な審議経過について
開会日の18日に総額14億4600万円の2054年度一般会計補正予算案が提出されました。補正予算案には道立施設の指定管理業務に係る管理費用に関する債務負担行為に16億6300万円、治山災害復旧事業費として2億5700万円が計上されました。本定例会に提案された一般会計補正予算案を加え、2024年度一般会計の総額は、3兆229億円となりました。
代表格質問では、まず知事の政治姿勢として、新たな総合計画、人口減少対策等、GX金融・資産運用特区等、国会議員への対応、政治資金の透明化について質しました。とりわけ人口減少対策では、実効ある対策を求めたが、「国の『こども未来戦略』を踏まえ、より実効性のある次期戦略の策定に取り組むとともに、市町村等と連携し、各般の施策を展開する」と答弁し、具体的な対策には言及しませんでした。どの分野にも影響が及ぶ極めて重大な課題であるにも関わらず、主体的、積極的に取り組む姿勢は感じられませんでした。
また、GX金融・資産運用特区については、指定による道民へのメリットを分かりやすく説明し、理解促進を図るべきと質しましたが、「チーム札幌・北海道と連携し、様々な機会を通じて周知に取り組む」の繰り返しに終始しました。更に、国会議員への対応では、組織の長として知事自身の反省、あるいは責任について質しましたが、明確な答弁はなく、「職員が声を上げやすい、職場環境づくりに取り組む」と述べるに止まりました。
行財政運営では、道有財産の活用等、国の指示権拡大について質しました。このうち国の指示権拡大について知事は、「安易に行使されない旨が担保されるよう、今後も全国知事会を通じて求めていく」と答弁したことから、地方自治の確立に向け、今後も強力に国に求めていくよう指摘しました。
防災・減災では、防災会議等における女性の参画の重要性及び女性委員の比率向上の取組について質しました。知事は「女性委員の一層の登用に向け、防災会議構成機関及び市町村に働きかけるとともに、女性の視点を踏まえた防災・減災を推進する」と答弁しました。
医療・福祉課題では、地域医療、がん患者支援の2点に絞って、知事の所見等を質しました。地域医療では、広域な本道の医療供給体制の確保に関して、「道民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、将来にわたって持続可能な医療供給体制の構築に取り組む」と答弁しましたが、具体な施策には触れませんでした。
経済と雇用対策については、物価高騰対策、ラピダスの進出に伴う課題について、知事の所見等を質しました。物価高騰対策では、道独自のさらなる物価高騰対策を機動的に実施する必要性について質しましたが、「引き続き、国の政策動向を注視し、現下の経済情勢を把握し、直面する課題にきめ細かく、機動的に対応する」と答弁したものの、具体的な言及がなかったことから、国へ必要な対策を要望するのはもとより、道独自の追加の物価高騰対策を機動的に対応するよう強く指摘しました。
空き家率が過去最多を更新する中での空き家対策に関する市町村への支援を質しました。知事は、「市町村に対する人材育成と技術的支援に取り組み、空き家の有効活用や管理の適正化を図る」と述べました。
また、エネルギー政策については、高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題、エネルギーの貧困について知事の所見等を質しました。最終処分場選定問題で知事は、「本件には国民的議論が必要なことから、報告書やその説明会を通じて北海道の状況や地域の意見を広く全国の皆様に知っていただけるよう、適切に対応していく」と全く不十分な答弁だったことから、あらゆる機会を通じて概要調査への移行は反対との立場を国民全体に伝え、理解を得るための働きかけを強く行うよう求めたが、同じ答弁を繰り返すに止まりました。
観光振興を目的とした新税については、道が取りまとめた説明会参加者アンケート結果では、導入に対する理解が得られたとは言い難いことから、新税導入を表明することは拙速ではないかと質したところ、知事は「導入に向けた議論を一段前に進めるため、今定例会で道の考え方や、今後の進め方を議論していく」と答弁しました。このため、改めて「『道民の納得』を定量的に十分に得たという確信を持ってから導入を表明するという順序が重要である」と質しましたが、「今定例会でご議論いただくとともに、引き続き道民の皆様に丁寧にご説明しながら、検討を進め、段階的に内容を詰めていきたい」と同じ答弁を繰り返したことから、再び「導入の公表は一定の議論が尽くされてから判断すべき」と指摘しましたが、最後まで明確な答弁はありませんでした。
交通・物流政策については、JR北海道の路線維持問題、北海道新幹線札幌延伸の延期、ライドシェア参入に伴う課題、バス事業者の支援について知事の所見等を質しました。JR北海道の路線維持問題については、「本道鉄道網の維持・活性化に向けて取り組んでいく」との答弁がありましたが、4月に行われた道とJR、沿線自治体との意見交換会では、「JRと沿線地域の協議が円滑に進められるよう、道としての役割を果たしてきたいと思っている」と述べていたにもかかわらず、一向に消極的であることから、「道内の鉄路を残すべき知事としてのリーダーシップ、まとめ役としての姿勢が見えてこない。知事が先頭になって利用促進を、知事としての姿勢を明確にすべき」と指摘しました。また、北海道新幹線札幌延伸の延期については、「地域や道内経済への様々な影響を把握し、その影響を最小限に止めるよう、道として対応する組織体制を早急に構築し、取り組むべき」と指摘しました。
環境政策では、ヒグマ対策、知床岬の携帯基地局整備について質しました。
第1次産業の振興について、農業政策では道産農特産物のPR活動と生産基盤の強化、さらに「食料供給困難事態対策法」、林業政策では道産木材の需要拡大、水産政策では道産水産物の消費拡大をそれぞれ質しました。特に農業政策において、「本道の意欲のある青年農業者や多様な担い手に必要な政策は、所得の安定と安心して生産に取り組める経営環境の整備である」と指摘した上で、「農業者が希望を持ち、本道農業・農村の近未来につながる生産基盤の確保をどのように進めるのか」質しましたが、知事からは若い世代を含めた農業者の所得の安定など北海道農業の明るい未来に希望が持てるような答弁は最後まで得られませんでした。
パートナーシップ制度については、道内でも制度を導入した市町村が27に上り、全国では都府県の導入も進んでいることから、「道においても導入に関して、英断が必要な時が来ている」と知事に迫ったが、「市町村の取組が進むよう支援してまいる」とこれまでの域を出ない答弁を繰り返すに止まったことから、知事の力強いリーダーシップの下、ひるむことなく取組を進めるよう求めました。
北方領土返還要求運動等については、「えとぴりか」の活用、「返還要求運動」について質しました。知事からは、「日ロ関係は依然として厳しい状況が続いているが、SNSを活用した効果的な啓発活動を展開するなど、関係団体と一層連携し、返還要求運動に粘り強く取り組んでいく」との答弁がありました。
教育課題について、新たに就任した教育長に対して、教育長の決意、北海道総合教育大綱の見直しについて質しました。教育長の決意として、「教育に対する思い(教育の目的や今の教育に必要なものは何か)」を質しましたが、「全ての子どもたちが、自分らしさを大切にしながら自己肯定感を持って、分かる喜び、学ぶ楽しさを実感できる環境を実現する事ができるよう全力で取り組んでいく」と課題への認識としては不十分な答弁しか返ってこなかったことから、実態と整合した施策を進めるようとする教育長の姿勢が必要と指摘しました。また、「いじめ・不登校対策」について、解決に向け新たにどのように取り組むのか質したところ、教育長は、「相談体制の整備や学びの場の確保をこれまで以上に強化する」との認識を示しました。
最後に、急増するSNS起因の犯罪被害への対策について、知事、教育長及び警察本部長に所見を質しました。また、5月末に報じられた警察署の統合・再編について、警察本部長に所見を確認しました。警察本部長は、再編整備の考え方について説明を始めたところであり、今後も、地域の方々が不安を抱かないよう、その有効性などについて説明を続けていく」と答弁しました。
2 採択された決議・意見書
(◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎巨大災害に備える危機管理対応の体制強化を求める意見書
◎航空機燃料の安定的な供給体制の構築を求める意見書
◎地方財政の充実・強化に関する意見書
◎ゼロカーボン北海道の実現に資する森林・林業・木材産業施策の充実・強化を求める
意見書
◯国土強靭化に資する道路の整備等に関する意見書
◯義務教育の機会均等の確保と教育予算の確保・拡充を求める意見書
◯私学助成制度に係る財源措置の充実強化に関する意見書
◯北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備促進を求める意見書
◯地域における「こども誰でも通園制度」に関する意見書
3 予算特別委員会
第2回定例会予算特別委員会は、6月28日(金)から7月2日(火)までの3日間の日程で各部審査を行いました。
7月3日(水)に開催した知事総括質疑では、木葉淳議員(江別市)が、行政運営、公職にある者等からの働きかけへの対応、交通政策、観光振興を目的とした新税、物価高騰対策、半導体産業への対応、知床世界自然遺産登録敷地内の携帯電話基地局整備事業等、山地災害危険地区への対応、食料・農業・農村基本法の改正、幌延深地層研究及び最終処分場について質しました。
(1)観光振興を目的とした新税の導入について(資料)
今回の第2回定例道議会の審議の中で、重大な議論の1つに「観光振興を目的とした新税の導入」が上げられます。鈴木知事は、今月5日の記者会見において、「新税について早ければ、令和8年4月の導入に向けて税条例の策定に着手する」と述べ、ホテルなどの宿泊料金に応じて課税する宿泊税を、早ければ2026年4月から導入することを発表しました。
我が会派からは代表格質問、一般質問さらに予算特別委員会で、「導入の表明は、税の根幹を成す部分に対する道民理解の十分な浸透や、道議会はもとより、各自治体・事業者等の一定の議論が尽くされたことを判断した上でなされるべき」と質し、「宿泊事業者の理解と協力」、また「道内宿泊者の約4割から5割近くを占める道民への理解醸成」も足りていないと知事の認識を求めましたが、知事は「導入に向けた議論を一段前に進めて議論を深めてほしい」と繰り返すばかりで、真摯に耳を傾ける姿勢は全く見せませんでした。
新税導入が道民・地域にとってどのようなメリットをもたらすのか、年間45億円と見込まれる税収はいったい何に使われるのか、肝心な部分は一切明らかにされていません。あくまでも道民、事業者、市町村との同意があっての条例制定であるべきで、導入時期ありきで強引に推し進めることがあってはなりません。
我が会派は、今後も、本件に関する知事の言動を注視し、道民や事業者を置き去りにした議論とならないよう、議会議論を通じて、しっかりと知事を追及していきます。
(2)公職にある者等からの働きかけへの対応について
本定例会においては、国会議員による道職員等への威圧的言動が繰り返された事案についても、非常に重要な問題として、我が会派は、議会審議に取り上げてきました。
知事は、「国会議員との適切な関係を保ちながら対応して行くことが重要」と答弁しましたが、具体的にどういった対応を知事として、道庁組織として行うのか質しましたが、「庁外からハラスメントとなり得る言動などを受けた場合には、庁内の相談窓口において相談を受け付け、組織として対応していく。道としては、引き続き、職員が声を上げやすい、風通しの良い職場環境づくりに取り組んでいく」とこれまで述べてきたことを踏襲するに止まったことから、「今後、働きやすい環境づくりの進捗状況について改めて伺う」と指摘しました。
これまでと同様の対処療法のみで、国会議員と自治体間との異様とも言える上下関係は果たして改善するのでしょうか。
国会議員が自治体職員に指示するかのような威圧的な姿勢はあってはなりません。自治体のトップは言うまでもなく、知事であり市町村長である。今回のような事案が再燃するようなことがあれば、当然、担当自治体職員に負担が集中し、精神的にも肉体的にも追い詰められ、もって心身の健康を害することも大いにあり得ます。そのような深刻な状況を招かないためにも、知事には一歩踏み込んで、実態を直視し、国会議員の役割や、国と地方の関係を改めて問い直すことを求めたい。
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