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第1回定例会閉会

IMG_59153月18日(火)2月19日に開会した第1回定例会が閉会しました。

令和6年度(2024年度)一般会計補正予算、令和7年度(2025年度)一般会計予算、「インターネット、SNSを利用した犯罪被害の防止対策並びに誹謗中傷等の抑止及び被害者救済を求める意見書」など可決し閉会しました。
IMG_5911代表質問には梶谷大志議員(札幌市清田区)が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、防災・減災、近代美術館エリア等、医療・福祉課題、経済と雇用対策、エネルギー対策、観光政策、地方交通・物流政策、ヒグマ対策、水道事業、企業局の経営、第1次産業の振興、人権等施策、北方領土返還要求運動等、日米地位協定、教育課題について質しました。
 
IMG_59131 主な審議経過について
 開会日2月19日の冒頭、総額328億6900万円の2024年度一般会計補正予算の先議を行い、山根まさひろ議員(札幌市北区)が、介護福祉人材確保・職場環境改善等事業費、医療需要等の変化を踏まえた医療機関支援等事業費補助金、新基本計画実装・農業構造転換支援事業費について質しました。
 また、最終補正予算については、年間事業費の見込みから一般会計で336億1300万円の増額措置が講じられました。なお、主な増額補正では、義務的経費101億6100万円、減債基金積立金414億4500万円などが計上されました。一方、主な減額補正では、公共事業費92億8200万円、特別対策事業費等26億5200万円などが計上されました。2024年度一般会計最終補正予算の審議は、予算特別委員会に付託され、3月7日(金)に小林千代美議員(千歳市)が、財政運営、官民連携推進事業費、畑作物生産改善対策費について質しました。今回の最終補正により、知事が提案した2024年度一般会計予算の総額は、3兆3345億5300万円となりました。
一方、知事が提案した2025年度一般会計予算案は、3兆504億6500万円で、前年度当初予算額の比較では、290億(1.0%)増となり、5年連続で3兆円を上回りました。ただし、歳出の約2割は借金返済に当たる公債償還費が占め、道の財政状況は全国で最悪の状況が続いています。
歳入のうち、総額の2割を占める道税は、物価高や賃上げ、道内企業の業績回復に伴う、法人事業税と法人道民税、個人道民税の増を見込んで、2024年度当初予算比7.5%増の6941億円となりました。また、収支不足を補うため、道の貯金に当たる財政調整基金を123億円取り崩し、2025年度末の残高は、前年度と同額の230億円を見込みました。ただし、2026年度以降も500億円を超える収支不足が続く見通しです。
公債残高は、2025年度当初で5兆7800億円、財政規模に対する借金返済の割合を示す実質公債費率は、当初予算ベースで20.0%、昨年度比0.9%の上昇となり、都道府県で最悪の水準です。1997年の北海道拓殖銀行の破綻などで冷え込んだ景気対策で発行した道債が償還期を迎え、今後も20パーセント台で推移し、2034年度には、23.7%と試算され、財政破綻が危ぶまれる早期健全化基準の25.0%に近づきます。財政健全化は先送りできない喫緊の課題であります。財政健全化等に向けた取組は、2021年(令和3年)3月に策定した「行財政運営の基本方針」に基づき進められてきましたが、この方針の推進期間が2025年度(令和7年度)までとなっており、新年度、2026年度(令和8年度)以降の新たな方針が策定される予定です。
審議経過について、知事の政治姿勢では「公約の進捗状況」、「道議会との関係等」、「人口減少社会への対応」の三点について、知事の認識等を質しました。このうち「公約の達成状況」では、2期目の折り返し地点を迎え、道民に約束した42本の基本施策の着手・進捗状況及び達成に向けた今後の取組について質しましたが、知事は、「より多くの声を伺い、安心して暮らし暮らし続けられる北海道の実現に取り組む」と繰り返すに止まりました。また、「道議会との関係等」では、議会における熟議を軽視する手法や、強引に議決を急ごうとする議会軽視の姿勢について、知事の認識等を質しました。知事からは「議会での議論を踏まえた政策推進が大切であり、今後もこの考えを基本に取り組む」と言行不一致の答弁に終始しました。
行財政運営では、「財政運営」、「機構改正案」、「働きやすく能力を発揮できる職場づくり」、「行政におけるDXの推進」の四点について質しました。とりわけ「機構改正案」に関して、地域振興の推進にあたって地域創生推進室の新設に伴い地域振興監の兼職解消を求めましたが、「北海道の創生に向けた取り組みを着実に推進する」と不誠実な答弁に止まったことから、今回の改正による地域創生の成果と検証を行うよう指摘しました。
防災・減災関係では、「市町村の避難所マニュアル作成・改定」、「避難所施設の整備と備蓄・資機材の充実」及び「雪害対策と情報発信の強化」について知事の考えを質しました。特に「避難所施設の整備と備蓄・資機材の充実」について、知事は「避難所が被災された全ての方々にとって安心して過ごすことができる場となるよう、地域づくり交付金を活用した市町村支援や、避難所運営に係る広域的な応援・授援体制の充実強化に取り組む」と回答しました。
近代美術館エリア等のリニューアルについては、リニューアルに伴うエリア全体の魅力向上にどう取り組むのか、知事及び教育長の考え方等を質しました。知事は「展示の充実、散策路の整備、一般開放の拡大などを検討する」とし、教育長は「美術文化を拓く美術館となるよう取り組む」とそれぞれ答弁したことから、教育庁と知事部局が連携し、美術館及びエリア全体の更なる魅力と価値の向上に取り組むよう指摘しました。
医療・福祉課題については、「地域医療・介護の確保」、「保育士の処遇改善と人材確保」」、「児童養護施設の充実」、「里親支援」、「子ども救済」の五点について質しました。このうち「子どもの救済」に関して、道が実施した「北海道こども基本条例」素案への道民意見公募において、全体の3割が子どもを権利侵害から救済する第三者機関の設置を求めていることから、知事の受け止めなどを質しました。知事は「本道の権利救済のあり方について、審議会で議論を深める」と述べるに止まり、設置に関する前向きな答弁は得られませんでした。また、「地域医療・介護の確保」や、「保育士の処遇改善と人材確保」についても、「住み慣れた地域で暮らし続けられるよう取り組む」あるいは「保育士等の人材確保と職場定着支援に総合的に取り組む」と従来と代わり映えしない理想論しか語られませんでした。
経済と雇用対策については、「実質賃金の引上げ」、「物価高騰対策」、「企業立地促進費補助金の見直し等」、「ラピダスなど半導体関連産業に係る課題」の四点に絞り込んで、知事の認識等を質しました。このうち長期化する「物価高騰対策」では、これまでの支援は対象に偏りがあり、学生や若年層、年金生活者など十分な支援が行き届かなかった方々への支援が必要だと再三訴えましたが、知事は「対策等の検証を行い適切に対応する」とまったく誠意のない答弁に終始しました。また、「企業立地促進費補助金等の見直し」では、制度を活用したGX産業の立地効果の全道への波及にどう取り組むのかを質したところ、知事は「立地補助金の見直しになどにより、他都府県と比べ、十分な立地競争力を確保できるものと考える」と自信をのぞかせるとともに、「道として各種立地支援制度の積極的発信、企業ニーズに応じたきめ細やかな提案を行い、道内各地域への産業の集積を図る」と述べたことから、結果が伴う取り組みは必要であり、とりわけ、道央圏以外の立地促進には、参入面で障壁もあることから、企業のニーズを丁寧に把握し、ラピダスの立地や、GX特区の指定といった好機を取り逃すことなく取り組むよう強く指摘しました。
エネルギー政策については、「高レベル放射性廃棄物の採取処分場選定」と「泊原発再稼働」について質しました。「泊原発再稼働」では、再生可能エネルギー電量を他地域へ送電する一方で、立地自治体がリスクを負う泊原発再稼働は不条理であることを指摘し、知事の考え方等を質しました。知事は「泊原発は、規制委員会の審査が継続中で、予断を持って申し上げる状況にはない」と述べ、「泊発電所に関して具体的内容が示された場合には、議会の議論等を踏まえ、適切に対応する」と従前と変わりない答弁を繰り返すに止まりました。
観光政策については、「観光予算」、「北海道宿泊税事業費」、「オーバーツーリズム等」の三課題を取り上げ、知事の認識、考え方を質しました。「観光予算」では、当初予算で年間の財政需要を満たす予算を確保できたのかとの質疑に対して、知事は「北海道観光機構負担金事業も含め必要な事業予算を提案した」と答弁しました。また、予算の効果を判断するため観光関連指標の見直しを検討すべきと質したところ、知事は「議会や道民の意見なども踏まえ、次期行動計画に設定する適切な指標を検討する」と答えたことから、観光関連指標の見直しを、どのように今後の観光施策検討に活用しようとするのかを再度質しましたが、知事は「観光を取り巻く様々な情勢変化を踏まえ、次期行動計画に設定する適切な指標を検討する」と繰り返しました。さらに「北海道宿泊税事業費」では、予算計上の考え方、今後の対応及び道宿泊税相当分の考え方を質しました。予算計上の考え方では、税制度の円滑な導入に向けてレジシステムの改修支援などに約12億円を計上していますが、事業の対象や補助率、適用除外となる市町村の費用負担のあり方の整理に関して、知事は「支援制度の公平性の観点から導入の有無に関わらず全道で一律の補助率としており、適用除外は、現在、国と協議中であり、その協議結果を踏まえ検討する」と答えた。また、宿泊者をはじめ事業者や市町村への税の趣旨等への説明や、税の具体的な使途の早期提示、具体化すべき事務的・技術的事項などの今後の対応に向けて、知事は「市町村や事業者を対象とした具体的な取扱いに関する説明会を開催する予定であり、使途については、議会議論も踏まえ、納税者をはじめ関係者に理解と納得をいただける使途となるよう取り組む」と答弁しました。道宿泊税相当分の考え方では、定率制の自治体による道税負担分の妥当性の判断と公平性の担保について、知事は「合理的かつ実施可能な算定方法を市町村と十分協議する必要ある」と答えました。適用除外となる自治体へのレジシステムの改修支援の対象とする方針なのか否かについて、再度、知事の見解を質したものの、国との協議中を理由に明言を避けたことから、国との協議にあたって道としての考え方、方向性を早急に示すよう強く指摘しました。
地方交通・物流政策については、「公共交通の継続」、「JR北海道の路線維持」、「物流業界の労働環境改善と人材確保」、「道路の安全確保」について、知事の認識等を質しました。「JR北海道の路線維持」では、黄色線区の利用促進等への取り組み、ハード面での新たな支援について、知事は「利用促進の取り組みを着実に進めるとともに、路線の維持・活性化に幅広い観点で検討を進める」と答弁したことから、知事のパフォーマンスに止まることなく、道としての実効ある取り組みを強く求めました。また、「物流業界の労働環境改善と人材確保」では、人材確保のための働き方及び労働環境の改善に向け、荷主企業や物流業界と連携し、積極的に取り組むべきと質したところ、知事は「法改正を踏まえた取り組みなどを進め、持続可能な物流体制の確保に向けて取り組む」と答弁したことから、物流負担軽減の具体的な取り組みとその改善状況に関して再度質したものの、知事は「取引環境の改善や共同運送等の取り組みを着実に進めることが重要と考える」と答弁するに止まり、改善の進捗状況の言及はありませんでした。「道路の安全確保」では、知事は「橋梁などの老朽化対策を着実に推進するための予算を国に要望するなどして安全と安心な道路交通の確保に努める」と答弁したため、国や市町村と連携し、安全確保に万全を期すよう強く指摘しました。
ヒグマ対策に関しては、人との共存するための長期的な視点を持った今後の対策を質したところ、知事は「国の新たな交付金を活用した人材育成・確保に取り組むとともに、地域における関係機関の連携強化、相互の信頼関係のもとで活動できる体制の構築、地域対応力の向上を図り、道民の安全・安心が確保されるよう対策の一層の強化に取り組む」と答弁しました。
水道事業では、水道事業が抱える課題に対する認識と道内における持続可能な水道事業の確立にどう取り組むのか知事に考え方を質しました。知事は「国に対して施設整備に必要な予算や、支援制度の拡充を強く要望し、持続可能な道内の水道事業の構築に取り組む」と答弁しました。
企業局の経営では、経営戦略の見直し、工水事業全体の経営改善の推進に関する公営企業管理者の認識、独立採算が原則の公営企業に対する今後の一般会計の対応について知事の認識等を質しました。知事は「GX産業での工水ニーズが高まりつつある機会を捉え、厳しい経営状況にある工業用水事業の改善を図るため、工水の供給力、豊富な再エネといった地域の優位性を積極的に発信し、一層の産業集積に取り組む」と答弁しました。また、公営企業管理者は「他会計からの資金の繰り入れは、特別な事情に限られるほか、3つの工水はそれぞれ独立採算で運営しており、各工水の受水企業の理解も得て行う必要があることから、まずは需要開拓による増収を図り、工水に係る借入金も収入増による返還を目指す」との考え方を示しましたが、これまでの歴史的経過を踏まえればその達成は極めて困難な道のりが想定されるため、経営戦略の改定を含め工業用水の経営改善にどう取り組むのかを再度質したところ、公営企業管理者は「今後も経済部をはじめ関係部局などと連携し、地域のGXやDX関連企業の動向を把握しながら、重点的に需要開拓に取り組み着実に収益を確保することで、経営の安定化を目指す」と答弁しましたが、先行きは不透明なままです。
第1次産業の振興について、農業政策では、「次期『食料・農業・農村基本計画』と本道農業・農村の振興」と「米政策」を、森林、林業・木材産業政策では、「本道の森林・林業・木材産業の具体的振興策」を、水産政策では、「主要魚種の生産回復に向けた施策」を質した。特に農業政策のうち「米政策」に関して、備蓄米の放出によるコメ農家への影響及び稲作主産地としての「あるべき姿」を積極的に提言すべきと知事の考え方等を質しました。知事は「放出する数量や価格設定など、国における制度の適切な運用が重要」と認識を示した上で、「将来に希望が持てる産地ビジョンを描くことができるよう取り組み、本道における水田農業の持続可能な発展に努める」と抽象的な答弁に止まったことから、実効性のある米の生産体制と農村地域の活性化の考え方を知事に求めました。知事は「令和9年度からの水田政策の抜本的見直しの検討に当たっては、国に対し、現場の実情を踏まえた制度となるよう求めるとともに、経営安定対策や農業保険等のセーフティネット対策などを総合的に推進し、本道農業の持続的な発展に取り組む」と述べました。答弁を受け、知事自ら先頭に立って、希望が持てる米の「主産地形成ビジョン」の実現に向けて、更なる取り組み、農業予算の増額要請などを展開するよう強く指摘しました。
人権等施策については、「誹謗中傷やヘイトスピーチ等への対策」と「アイヌ政策の推進」の二点を質しました。「誹謗中傷やヘイトスピーチ等への対策」では、誹謗中傷やヘイトスピーチは絶対許さないという強い決意のもと、実効性のある対策が必要だと、知事並びに道警本部長に対して認識等を質しました。知事は「誰一人取り残されることがない地域社会の実現に向けて取り組む」とし、道警本部長は「犯罪行為には厳正に対処するとともに、効果的な広報啓発活動等に取り組む」と答弁しました。これに対しては、残念ながら意図的に誹謗中傷する人には啓発効果が見られず、知事には誹謗中傷やヘイトスピーチはあってはならないという当然のことを、自身が様々な場面を捉え、発信すべきと求めました。しかし、知事は「引き続き、道警察をはじめ、関係機関との連携のもと、あらゆる機会を通じて、人権侵害防止に向けた啓発を進めるなど、すべての人がお互いの個性や人格、多様性を尊重しながら、助け合い、支え合って安心して暮らしていくことができる、地域社会の実現に取り組む」と極めて耳触りの良い答弁ではあるものの、自らが先頭に立ち積極的に取り組む姿勢を示しませんでした。
北方領土返還要求運動等に関しては、今年、2025年が戦後80年の節目に当たることから、これまで以上に気運醸成に取り組むべきと質したところ、知事は「本年8月には『北海道・東北国民会議』が開催されることから、大会長として節目の新たな決意のもと、大会宣言や大会決議を行う予定であり、また、これまでの取り組みに加え、リニューアルする赤れんが庁舎において、デジタル技術を活用した効果的な情報発信を行うなど、啓発の取り組みを強化する。北方領土の一日も早い返還に向け、今後とも国や関係団体の皆様と一層連携し、粘り強く返還要求運動に取り組んでいく」と答弁しました。
日米地位協定について、今後、具体的にどのように取り組むのかと質したことに対して、知事は「協定の必要な見直しが行われるよう、引き続き、渉外知事会などを通じて国に働きかける」と述べました。
教育課題については、「教職員の勤務時間」、「教職員の欠員解消」、「子ども意見表明の反映」の三点を教育長に質しました。「教職員の欠員解消」では、これまでの教職員確保の取り組み等への評価と、検証・評価を踏まえた新年度の取り組みへの所見を求めました。教育長は「早期から教職の魅力発信など教員志願者の確保に加え、職場環境の改善により、教員の確保に全力で取り組む」と答弁したことから、残念から様々な策を講じても、欠員の解消に至っていないことへの認識と、現在、各教育局に配置されている指導主事を欠員校に配置する検討を行うよう提案し、改めて所見を求めました。教育長は「指導主事などの人材活用や人事配置上の工夫など、より実効性のある取り組みをついて検討し、欠員の解消に努める」と述べたことから、指導主事等を欠員解消まで欠員校に配置するよう重ねて求めましたが、教育長は「より実効のある取り組みを検討する」と同じ回答に終始しました。また、「子ども意見表明の反映」では、子ども意見をどのように聴取し、教育課題に反映させるのかを質しました。教育長は「意見等を聴く機会を確保されるよう『こどもまんなか』の理念を大切にし、市町村教育委員会や校長会等の関係機関とも連携しながら取り組む」と答えたことから、具体的な取り組みと学校現場の負担とをどう両立させていくのかについて再度質しましたが、教育長は「実践例を幅広く周知するなどし、様々な場面で児童生徒の意見を聴く機会が確保されるよう取り組む」と具体性に欠ける答弁を繰り返しました。
会派は、こうした議論経過などから、2025年度一般会計予算案について、組替動議を提出し、反対しました。なお、動議の提案趣旨の説明は、予算特別委員会では、岡田遼議員(釧路市)が、本会議では、松山丈史議員(札幌市豊平区)が行いました。
 
2 採択された決議・意見書
                    (◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎インターネット、SNSを利用した犯罪被害の防止対策並びに誹謗中傷等の抑止及び被害者救済を求める意見書
◎北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備促進に関する意見書
◯将来にわたり安全安心な医療・介護制度の提供を求める意見書
◯セーフティーネットである高額療養費制度の堅持を求める意見書
◯持続可能な学校の実現に必要な教育指導体制の充実を求める意見書
 
3 当面する課題と対応
(1)2025北海道当初予算編成及び道政執行に関する要望・提言について
 会派が、1月28日(火)に知事に提出した「2025北海道当初予算編成及び道政執行に関する要望・提言」の内容は、次のとおり。
 
1 行財政運営について
(1)地方分権の推進
・2000年の地方分権一括法施行後も財源と権限の移譲は十分でなく、その後の行き過ぎた地方交付税の削減が道財政悪化の一因となった。多くの地方自治体は、コロナ禍を経て、さらに地方分権を押し進める必要性を実感したはずである。改めて国と地方の役割分担を見直した上で、国から地方への権限、財源の一体的な委譲を積極的に国へ提案すること。
(2)財源の確保
a 税制改革による減税分の財源確保
 「年収の壁」の見直しによる地方税収の減少は、質の高い行政サービスの提供に支障を来す恐れがあることから、国における検討状況を注視しつつ、減収分の補填は国が責任を持って恒久的な財源で確保するよう、時期を逸することなく国に要望すること。
b 子ども・子育て政策に係る財源確保
・「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた施策や今後拡充された場合の施策の実施に当たっては、本道において地域間格差が生じることのないよう、必要な財源を確実に確保すること。
なお、全国一律の施策ほか地方が行うサービス提供には、その地域における実情に応じたきめ細やかな事業実施が求められることから、地方団体の創意工夫が生かせるよう、長期的・安定的な財源を確保すること。
c デジタル田園都市国家構想の推進に係る財源確保
・地方団体の基幹業務システムの標準準拠システムへの移行については、移行に係る経費について必要額を確実に確保するとともに、影響を受ける全てのシステムの改修等に対する経費についても財政的支援を国に求めること。
(3)情報発信の在り方
・道民に対する丁寧かつ分かりやすい情報発信に努めること。テレビや新聞などは幅広い世代に伝える有効なツールだが重要なのは内容であり、道民にとって、必要な道政の情報を知る機会となることから、知事が直接手がける場合は、時宜を捉えた正確な情報を分かりやすい形で発信すること。
(4) 財政運営
・道財政の健全化について、「行財政運営の基本方針」では、収支不足額の解消に向け、歳出削減や効率化に取り組むこととしているが、行政サービス水準の低下や労働環境の悪化を招かないこと。
・「行財政運営の基本方針」の推進にあたっては、掲げる目的や効果の達成度を随時、把握・検証しながら取り組むこと。また、行財政運営の状況については、特に道民への分かりやすい情報公開をより推進すること。
・ふるさと納税については、故郷や思い入れのある地域、被災自治体などへの支援につながるメリットがある一方、自治体間での財源の奪い合いが生じるなど少なからず問題もあることから、地域によって格差が生じない制度への見直しを進めるとともに、産業振興を通じて税収増を図るのが本来の姿であることから、道としての対策を講じながら、国に対して税源と権限の移譲によって地方を支える道筋をつけるよう強く求めること。
 
2 地方創生の推進について
(1) 人口減少問題
・人口減少が続くことで、地域の担い手が減り、地域経済規模が縮小することで、地域での生活の維持が困難となることが懸念される。 そのような状況においても、地域で住み続けられるよう、公共インフラ・公共交通の維持、買物・医療等の生活機能確保などデジタルも活用しながら社会機能を維持すること。
・人口減少、少子化対策の根本は、若い世代が将来に明るい展望を持ち、希望する誰もが安心して結婚し、子どもを生み・育てることができる社会経済状況を作り出していくことである。 そのためには、若い世代を始めとした人々の多様化する価値観に応じた暮らし方や働き方を広げるとともに、若い世代が生活の先行きを見通せるよう、働き手の正規雇用化の促進や処遇改善を進めること。
また、子育て期においては、多様で柔軟な働き方の実現や育児休業等の取得の促進とともに、地域の担い手でもある子育て世代を地域ぐるみで応援する環境づくり推進すること。
(2) デジタル化の推進について
・高齢化の進行、担い手減少等による生活サービス機能の低下・喪失の懸念等の課題を有する地域においても、生活機能を維持し、住み続けられるよう、国と連携して社会基盤確保やデジタル基盤整備、行政DX、遠隔医療等のデジタル活用を促進すること。
(3) 公共交通ネットワークの維持・存続について
・地域の実情に応じた生活交通の維持・確保、及び持続可能な地域公共交通の実現に向けて道が必要な役割を果たすこと。併せて国に対し必要かつ十分な支援を継続して求めること。 特に、JR北海道の果たす役割を引き続き堅持し、鉄道事業者側の事情・判断のみによって廃止等がなされることがないよう、沿線地域の意向が十分に尊重されるよう道としての役割を果たすこと。
・2024年問題や高齢化の進行などにより、一層重要となっている高齢者等の移動困難者の交通手段を確保するため、地方が行うバス路線の確保・維持に対して必要な支援を講ずること。
 
3 物価高騰対策について(総論)
・燃油、原材料などの物価高騰の長期化は、道民の日常生活はもとより本道の基幹産業である第1次産業をはじめ広範な事業活動に極めて深刻な影響を与えており、未だに出口は見えていない。これまでの支援は必ずしも様々な道民や事業者へ行き届いてはおらず、対処療法的な財政出動の効果は限定的、かつ一時的と言わざるを得ない。中期的な視点での住民や事業者に寄り添った切れ目のない支援策を講ずるとともに、国に対して必要な財政支援を強く求めること。
 
4 雇用と経済対策について
(1)物価高騰対策
・不安定さを増す国際情勢等に端を発した物価やエネルギー価格高騰の長期化は、未だ収束への先行きが見えない。そうした状況の下、対象者が偏在することなく、真に必要とする道民(とりわけ低所得者や年金生活者等)に、必要とする支援が確実に届くことが重要であり、併せて、あらゆる媒体を活用した周知の徹底、さらに申請に関しても可能な限り簡略化の上、適時・適切な支援を行うこと。
(2)経済対策
・ラピダスの千歳市進出に関しては、道内のデジタル人材不足や道央圏への人材の集中、周辺の交通インフラ、住宅、教育環境の整備など、様々な課題が懸念されている。道としてその役割を認識し、速やかに解決策を示すとともに、全道各地への進出による波及効果を着実に広げること。
また、行政区域などを越えた広域な調整など司令塔としての役割を果たすこと。
(3)雇用環境の整備 
・2022年以降、消費者物価が上昇し続けている一方で、物価の上昇に賃金が追いついていない。物価上昇に見合った賃金の上昇が極めて重要だが、小規模事業所・中小企業では、十分な価格転嫁が進んでおらず、賃上げの原資が十分確保されていないことから、厳しい経営環境下において賃上げに取り組む事業者に対して必要な支援を講じること。
(4)雇用の創出
・ラピダスの進出や、それに伴う関連産業の集積よる雇用創出効果が、北海道全体に波及する一方で、交通、物流、建設や観光などの分野において深刻な人手不足が続いていることから、人材育成の充実強化や、外国人労働者の生活環境の改善などに向けて民間任せにすることなく、必要な支援に積極的に取り組むこと。
(5)人手不足の解消
a交通・物流事業
・運送事業者や旅客運輸事業においては、ドライバー不足などの深刻な課題に直面している。安定的かつ効率的な物流・旅客運輸体制を確立するため、道が設置する交通・物流連携会議の議論を踏まえ、国と連携のもと、情勢の変化に柔軟に対応できるよう、物流ネットワークの形成を図るとともに、バス路線維持に向けた取組をバス会社や市町村とも連携して道が主体的な役割を果たし、地域交通の維持、確保に努めること。
b 建設産業
・建設産業においては、ラピダスの進出に伴う工事の本格化と相まって、人材の獲得競争が激化している。併せて、北海道新幹線の札幌延伸に伴う大規模再開発が相次ぐ札幌市中心部でも、人手不足が深刻化している。資材高騰などで賃上げにも限界があり、中小事業者は人材の確保に大変苦慮している。現状や課題の把握に努め、「北海道人材確保対策推進本部」を中心に、業界団体と連携のもと、地域ごとによる人材確保策を重点的に講じ、また、ICTによる業務効率化やベンチャー企業との協力による生産性の向上など必要な支援を講ずること。
(6)宿泊税の導入と負担軽減の確実な支援について
・条例は制定されたが、今後、円滑かつ適切な運用が図られ、制定による効果が旅行者はもちろん、遍く道民や市町村、宿泊事業者に享受されるよう、必要な議論を丁寧に行うこと。
また、スポーツ合宿や長期出張などの長期宿泊、妊産婦への宿泊などへの支援について早期の具体化に取り組むこと。
(7) カスタマーハラスメント防止対策の推進
・昨年の第4回定例会において、カスタマーハラスメント防止条例が可決・成立した。現在は、4月1日の施行に向けてカスハラへの対処方法などを盛り込んだ指針の策定や、相談体制の整備が進められているが、カスハラ防止対策の推進は、社会的な課題であることから、施行後も、道民をはじめ企業や学校等へのカスハラ防止に関する啓発・教育活動など条例の実効性をより高めるために必要な支援を講ずること。
 
5 医療・福祉政策について
(1)子育て支援
・子育て支援については、道が一丸となって、子ども家庭庁をはじめとする関連する国の省庁との連携を強化するとともに、庁内の組織横断的な情報の共有化、調整、連携の強化を図り、子育て世帯の更なる負担軽減、保育人材の育成や周産期医療の維持・確保、不妊治療や妊産婦への支援の他、社会全体で支える仕組みの構築に取り組むこと。
・子どもに寄り添った権利や利益を保護し、支援を行うために子どもや家庭などの実態を把握するとともに、現実と乖離しない施策の運用や、必要な場合は新たな施策を検討すること。
(2)少子化対策
・過去の対策の問題点を検証し、就職、結婚、保育、教育など人生の節目での課題を踏まえた上で、包括的な制度設計とすること。
また、国立社会保障・人口問題研究所の2050年の将来推計人口では、道内の少子化が全国を上回るペースで進む実態が明らかとなっている。とりわけ地域の将来を支える0~14歳人口の減少が深刻なことから、子育て支援だけでなく、男女の賃金や評価、役割といった格差是正、若者を雇用する場の誘致など、人口流出の防止と雇用の創出にこれまで以上に取り組むこと。
(3)高齢者・しょうがい者福祉
・高齢者やしょうがい者の福祉施設では、虐待などの深刻な案件が繰り返されている。実態把握と原因究明による防止・抑制に取り組むことはもちろん、当事者の人権に配慮した実効性のある施策として、施設職員の処遇改善はじめ、健全かつ適正な介護人材の育成、職員の負担軽減に繋がるデジタル化の推進、高齢者の健康づくりに資する取組の促進を図ること。
(4) 医療機関の経営安定化
・道内の医療機関は、公私を問わずコロナ禍で地域における重要な役割を果たし、その重要性が改めて認識されたが、国のコロナ政策による経営の歪みや、道民の受療行動の変化に加えて、物価高や賃上げの影響等により、現在もなお極めて厳しい経営環境にある。このような状況を踏まえて、医師、看護師など医療人材不足や不採算診療科などの課題に対応し、条件不利地域を含むすべての地域において必要な医療を安定的に提供できるよう、取り組むこと。
(5)新型コロナウイルス感染症
・一昨年5月8日から新型コロナウイルス感染症は、法律上の位置づけが「5類感染症」に移行したが、今冬も感染者が増え、道内の指定医療機関1か所当たりの感染者数は、全国平均の2倍超となっている。新たな感染症のパンデミックが起きた時に再び深刻な状況を繰り返さないため、平時からの医療の確保に万全を期すことはもちろん、継続的に道民一人ひとりの意識醸成を図ること。
また、有識者会議で議論されてきたコロナ対策の検証結果を踏まえ、高齢者、しょうがい者、乳幼児など感染のリスクが高い方々や医療、介護、保育などの現場で対応する職員に配慮しつつ、感染拡大の兆候が見られた際などには、丁寧かつ迅速な情報提供とともに、必要な対策を速やかに講ずること。
(6)子どもの自殺
・2023年度から「第4期の北海道自殺対策行動計画」がスタートしたが、計画上の主な取り組みが十分な効果を得られるよう、一部担当部署の努力のみに依拠せず、医療、保健、福祉、教育が一体となって、子どもの自己肯定感の向上や悩みの解消に向けて、一つも見過ごすことないように、丁寧かつ確実に取り組むこと。
 
6 防災・減災対策について
・近年、日本各地で大規模な地震が発生しており、昨年1月1日には令和6年能登半島地震が発生し、石川県の能登地方を中心に富山県、新潟県に及ぶ広範囲に甚大な被害を及ぼした。追い打ちをかけるよう、9月には令和6年能登半島豪雨が被災地を襲い、さらに多くの方の尊い命が犠牲となり、被災された方々は、未だ不自由な避難所での生活を強いられている。道は、2023年度の日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震に備え組織機構改正を実施したが、災害発生時には、各市町村と連携の下、円滑な応急活動等に取り組むとともに、地震防災上緊急に整備すべき施設等に関し、さらなる財政支援を国に強く求め、併せて道も市町村が講じる対策に必要な財政支援を行うこと。
・地震や集中豪雨など自然災害は、いつ、どこで発生してもおかしくない現状から、継続した防災意識の醸成に取り組むとともに、災害弱者と言われる高齢者、しょうがい者、子ども、疾患のある人、外国人などの移動手段の確保を含む避難計画の早期策定に向けた市町村支援、加えて、積雪寒冷期の避難や感染症対策も含めた避難所の設置・運営について、十分な検討と対策を講ずること。また、女性、高齢者、しょうがい者を前提とし、ペットの動向なども含め、周囲へ遠慮せずに避難所で生活できる体制を整えるための支援を強化すること。
・2022(令和4)年2月の大雪では札幌圏を中心に大規模な交通障害が発生した。今シーズンも、明けてから道央や道北で局所的な大雪により生活道路の寸断など命や暮らしに関わる深刻な事案が発生していることから、「令和4年2月の札幌圏を中心とした大雪に係る関係機関の対応検証と今後の対応策に関する報告書」(2022(令和4)年5月31日)を踏まえ、実効ある雪害予防対策や応急対策を講ずるとともに、実践的な訓練などを通じて道民の安全・安心と社会経済活動の維持を図ること。
 
7 地方交通政策について
(1)JR路線維持問題
・地域の鉄道ネットワークが果たす役割は極めて重要であり、ひとたび廃線となれば容易に復活できないことを踏まえ、2024(令和6)年3月に国が公表した「JR北海道に対する支援(令和6年度~)」に基づく支援が着実に実施されるよう、国に強く求めるとともに、持続的な鉄道網の確立に向け、道としても役割をしっかり果たすこと。
(2)北海道新幹線札幌延伸
・北海道新幹線の札幌延伸は、現時点で開業時期について明確な見通しは立っていないが、新函館北斗・札幌間の沿線地域においては、開業を見据えたまちづくりが進められている。より大きな新幹線効果の発現とJR北海道の収支改善のため、鉄道・運輸機構に新たな開業時期を速やかに提示させるとともに、早期完成・開業の実現を図ること。
 沿線自治体の厳しい財政状況を踏まえ、新たな負担を生じさせないこと。また、必要な財源確保や財政措置の拡充を図ること。
(3)バス路線の維持
・バス路線の維持について、これまで事業者に対して事業継続等への支援などに取り組んできたものの、2024年問題や人材不足により、地域によっては、大規模なバス路線廃止、ダイヤ改正などで安定的な維持は大変困難な状況が続いている。地域におけるバス路線維持あるいは代替輸送手段の構築に対し、道としての支援に取り組むこと。
(4)新千歳空港駅のスルー化
・新千歳空港駅のスルー化は、新千歳空港へのアクセスを飛躍的に高め、道南・道東からのアクセス改善はもとより、道内空港の一括民間委託の効果拡大に大きく貢献することから、JR北海道などと連携し、空港アクセス鉄道の抜本的改良を行うこと。
(5) 円滑な物流の確保
・日常における円滑な物資や人員輸送を確保するため、トラックや鉄道、フェリーなど各モードの特徴を活かした複合一貫輸送の推進、物流の役割を考慮した道路網の整備や鉄道ネットワークの維持に向けた取組を講ずるとともに、災害発生時などにおける物資の円滑な流通を担保するため、物流の基幹的広域防災拠点を整備すること。
 
8 環境政策について
(1)ヒグマ対策
・今後のヒグマ対策については、捕獲の困難さを勘案し、捕獲活動経費の引き下げ等、鳥獣被害防止総合交付金の見直しとともに、生息数管理及び人里出没抑制のための市町村が行う取組等に対し、道として必要な支援を行うこと。
また、各(総合)振興局における現場を担当する職員の確保・育成、さらなる増員と専門家の配置により対策の拡充・強化を図ること。
 さらにヒグマの市街地出没増加を踏まえ、人家周辺における銃器の使用に関する法令の改正に対する着実な運用に向けて取り組むこと。
(2)ゼロカーボン北海道の推進
・温室効果ガスの削減は、市町村、事業者、道民の幅広い連携・協力が不可欠であり、知事のリーダーシップが欠かせない。「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取組を着実に進めること。さらに電力の地産地消に資する取組を強化し、地域雇用の創出や産業振興を図ることともに、送電網の拡充や、系統用蓄電池の利活用促進などの課題の解消に取り組むこと。
(3)再生可能エネルギーの拡大における道民理解
・メガソーラー(大規模太陽光発電)が自然環境の破壊に繋がるとして、住民が反対するケースが道内でも相次いでおり、また、洋上風力発電の設置には地元漁業者との合意が必須要件である。トラブルを未然防止するには、地域の方々が参画して再エネを進めることが肝要であり、併せて安定した供給量の確保や高額な発電コストの低減など、課題の解決に向けた対応を丁寧に行うこと。
(4)高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題
・高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題については、未だ道民の理解が進んでいるとは言えない。本道の核抜き条例を遵守し、概要調査には決して進まないよう毅然と対応すること。
(5)PFASへの対応
・建設中のラピダスの次世代半導体製造工場は、安平川を水源とする道の工業用水を使用する。規制対象のPFASは持ち込まず、規制外の物質も浄化装置で除去した上で、終末処理場を経て千歳川へ排水する計画であり、千歳市は、千歳川などでPFASを含む水質検査を実施しているが、市とラピダスが結んだ「工場排水に関する協定」では、下水道法上の規制項目ではないことから、測定項目にPFASは含まれていない。千歳川下流では江別市が取水していることから、下流域で暮らす地域住民の不安を払拭するため、関係者と情報を共有化し、万全な対応に取り組むこと。
 
9 農林水産業の振興について
(1) 農業政策
a 食料安全保障の強化
・北海道の農業・農村が、我が国の食料安全保障の強化に最大限貢献するために、生産力、競争力の強化や農村地域の強靭化が必要なことから、農業農村整備に必要な予算総額を安定的に確保すること。
また、小麦や小豆などの輸入依存作物の生産拡大を図るため、新たな品種開発や技術、作物機械の導入支援などの総合的な対策を講じること。
b 安定した所得を確保する仕組みづくり
・コスト上昇分の全てを価格転嫁すると消費減退を招き、農業者は生産調整を強いられることから、食料システム全体における適正な価格形成に関する仕組みづくりと国民理解の醸成に努めること。
また、生産者が安定した所得を確保するための新たな直接支払制度など、恒常的なコスト割れ相当分を補てんする仕組みを構築すること。
c 多様な担い手等の育成・確保
・農業分野における多様な担い手の育成・確保を図るため、新規就農者への支援を強化するとともに、新規就農者育成総合対策などの地方の財政負担をなくすよう、国に求めること。併せて、法人化の取組、雇用人材の確保、営農支援組織の円滑な運営などに対して必要な予算を確保すること。
・高病原性鳥インフルエンザについては、昨年10月には厚真町、11月には旭川市内の養鶏場で確認され、合わせて6万4千羽が殺処分された。感染確認から完了に至るまでの段階的作業について、これまでの対策の検証結果を踏まえ、従事する北海道及び該当自治体職員の負担軽減を図る具体的な取組を速やかに策定すること。
 また、国内や近隣国では、豚熱や口蹄疫などの悪性の家畜伝染病が散発しているが、家畜伝染病発生時に対応する獣医師は慢性的な欠員状態にある。獣医師の人材確保・人材育成についても取組を一層強化すること。
(2)林業政策
・2022年3月に策定された「北海道森林づくり基本計画・道有林基本計画」に掲げられた7つの「重点的な取組」が達成されるよう、着実な推進を図ること。また、長期化する物価高騰に伴い林業分野でも深刻な影響が続いていることから、 影響緩和に向けた効果的な支援策を打ち出すとともに、国へ支援強化を求めること。
・森林づくりを担う人材の確保について、林業・木材産業の人材を育成する北の森づくり専門学院の生徒への財政的支援を講ずるとともに、卒業生が、道内の林業・木材産業関連企業等へ確実に就業できるよう、就業先の確保に取り組むこと。
・森林吸収源対策等の目標を達成するため、森林環境譲与税で得られた財源を活用した森林整備を推進するとともに、税に関する道民への理解促進を図るため、一層の普及啓発に取り組むこと。また、森林由来クレジットを活用した森林整備や保全による森林吸収源対策を促進すること。
(3)水産業政策
・ロシアのウクライナ侵攻に伴う日ロ関係の悪化は未だに出口が見えず、北方領土周辺水域の漁業に暗い影を落としている。加えて温暖化による海洋環境の変化、漁業資源の減少、燃油や資材の高騰が追い打ちを掛け、本道漁業は厳しい状況が続いている。影響緩和に向けた効果的な支援策を打ち出すとともに、栽培漁業や、ブルーカーボンなどあらゆる施策に断続的に取り組むこと。
・東京電力福島第1原発で発生した処理水について、一昨年8月に海洋放出が始まり1年半が経とうとしているが、未だに中国の禁輸措置が続いており、長期化に伴う漁業者、流通・加工業者などの損失は極めて大きいことから、安定的な事業運営と生活を守るための継続的な支援を講ずること。
 
10 エネルギー政策について
 (1)泊原発再稼働
・泊原発再稼働については、国のエネルギー政策の大転換に伴い原発回帰の気運が高まる中にあって、昨年末に原子力規制委員会の審査会合で審査上の論点に関する事業者の説明が一通り終了し、申請から11年に及んだ審査は最終局面に入ったものの、未だ住民の不安の解消に至っていない。福島第一原発事故を踏まえれば、冬期の避難の困難さや本道の再生可能エネルギーのポテンシャルの高さからして、原発の必要性は極めて低く、慎重に対応すること。
(2)ゼロカーボン北海道の推進
・温室効果ガスの削減は、市町村、事業者、道民の幅広い連携・協力が不可欠であり、知事のリーダーシップが欠かせない。「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取組を着実に進めること。さらに電力の地産地消に資する取組を強化し、地域雇用の創出や産業振興を図ることともに、送電網の拡充や、系統用蓄電池の利活用促進などの課題の解消に取り組むこと。(「8 環境政策について」の(2)の再掲)
(3)再生可能エネルギーの拡大と道民の理解
・GX金融・資産運用特区となった(札幌・)北海道では国内外からのGX投資促進を加速する必要がある。国内随一の再生可能エネルギーの宝庫である北海道において、優良な投資先となりうる情報を積極的に発信し、同時に、より扱い易く、設置し易い新しい技術についても貪欲に情報収集をしながら、国が主力電源と位置付けている再生可能エネルギーの拡大を実現させること。
・メガソーラー(大規模太陽光発電)が自然環境の破壊に繋がるとして、住民が反対するケースが道内でも相次いでおり、また、洋上風力発電の設置には地元漁業者との合意が必須要件である。トラブルを未然防止するには、地域の方々が参画して再エネを進めることが肝要であり、併せて安定した供給量の確保や高額な発電コストの低減など、課題の解決に向けた対応を丁寧に行うこと。(「8 環境政策について」の(3)の再掲)
(4)高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題
・高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題については、未だ道民の理解が進んでいるとは言えない。本道の核抜き条例を遵守し、概要調査には決して進まないよう毅然と対応すること。(「8 環境政策について」の(4)の再掲)
 
11 人権等施策について
(1)パートナーシップ制度の導入
・パートナーシップ制度は、性的マイノリティ当事者のみならず、社会全体おいても多くのメリットを創出する。道内では、現在、28市町が制度を導入しており、都府県でも25都府県(2024年6月25日現在)がすでに導入している。また、昨年5月には、北海道市長会がパートナーシップ宣言制度導入を求める要請書を道に提出した。当事者を含めた道民の多くが、市町村への後押しも含め、導入促進に向け、道がリーダーシップを発揮するとともに、道自らも、新たな総合計画の策定を機に、制度導入に取り組むこと。
(2)男女共同参画計画の策定促進
・SDGsの目標の1つである「ジェンダー平等の実現」に積極的に取り組むこと。併せて人口減少が進む中、持続的成長の実現と地域社会の活力を維持するための男女共同参画社会の実現に向け、男女共同参画計画の策定は極めて重要である。道は未策定の市町村(令和5年4月1日現在:66自治体)に対し、市町村の事情や地域の状況に配慮しつつも、可能な限りの早期策定に向けた働きかけを行うこと。さらに、施策の方向の項目ごとの目標が目標年次に達するよう、引き続き、関係部局との連携を強化すること。
(3)こどもの権利保障
・道は、これまでも相談窓口を設置し、保護者や子どもからの相談に対応してきたが、いじめや虐待などの子どもへの人権侵害は、減少していない。適切な相談窓口がない悩みや、教育委員会や児童相談所などによる既存の対応で解決しない問題にきめ細かく対処するため、道としての「こども救済機関」を創設すること。
(4)アイヌ施策の推進
・2024(令和5)年の「北海道アイヌ生活実態調査」の実施結果によれば、アイヌ施策の施行により、(前回調査と比較し)向上した部分もある一方で、自分自身が、アイヌであることを理由に差別を受けた経験の有無については、「差別を受けたことがある」の割合が、29%と前回、前々回の調査結果と比較し増加している。また、アイヌ施策推進法や、法における「差別禁止」の認知度も十分とは言えない実態が顕在化したことから、知事の「差別は許されるものではない」との認識を具現化し、実効性を伴った差別解消対策に取り組むこと。
(5)多文化共生社会の実現
・多文化共生については、単に支援に止まらず、それぞれの母国や文化を持つ外国人の個性などが尊重され、自分らしく生きられる社会を目指すべきであり、道として大切な一員として受け入れ、共に暮らしていけるよう、必要な施策を講ずるなどして、地域社会の形成を図ること。
 
12  北方領土返還要求運動等について
・北方領土問題が、全国民の問題という認識が低迷している現状を踏まえ、道の新たな取組である若い世代への啓発活動を全国に波及させるよう、国に要請するとともに、元島民の高齢化が進む中、知事自ら先頭に立ち、国民一人ひとりの問題であることを訴えかける取組を推進すること。また、北方墓参をはじめとする四島交流等事業の一日も早い再開に向けて、具体的進展を図ること。
 
13 教育課題について
(1)教員の働き方改革
・学校における働き方改革については、これまでの取組成果は抜本的な解決までには至っておらず、依然として長時間勤務の職員が多いことから、改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援を一体的・総合的に推進すること。
(2)教師の処遇改善
・複雑化・多様化する教育課題に対応する業務や、保護者等からの要望に対する業務など、教師によって業務内容や負荷が多岐にわたることから、質の高い人材確保に資する、職責や負担に応じた処遇改善を図ること。併せて、これらに必要な財政措置を講ずること。
(3)学校の指導・運営体制の充実
・複雑化・多様化する教育課題に対応し、新しい時代の学びを支える指導体制を整備するため、教職員定数の一層の充実を図ること。その際、加配定数の付け替え等によらず十分な財政措置を講ずること。
(4)いじめ問題、不登校への対応
・少子化が進み、児童生徒の絶対数が減少しているにも関わらず、いじめ、不登校は増加し、複雑化している。もはや担任一人でこれらに対応するのは不可能であり、国に対して教職員定数配置の拡充を要請することはもとより、小学校1年生に複数教員配置を行う道独自の取組を検討すること。
(5)子どもの自殺
・2023年度から「第4期の北海道自殺対策行動計画」がスタートしたが、計画上の主な取り組みが十分な効果を得られるよう、一部担当部署の努力のみに依拠せず、医療、保健、福祉、教育が一体となって、子どもの自己肯定感の向上や悩みの解消に向けて、一つも見過ごすことないように、丁寧かつ確実に取り組むこと。(「5 医療・福祉政策について」の(6)の再掲)
 
(2)物価高騰対策について
 北海道は、1月の臨時会で可決、成立した物価高騰緊急経済対策の一環としての、子育て世帯を対象とした「おこめ券、牛乳贈答券」(5240円)の配付事業の申請受付を4月4日(金)から始めます。この事業は申請方式であることから、支給対象の約39万世帯の方には、ぜひ6月末までの申請期間内に申請されるよう、お願いいたします。今回で3度目となる本事業について、我が会派は、子育て世帯に限定せず、これまで必ずしも十分な支援が行き届かなかった方々、例えば学生、所得の低い若年層、年金だけで生活する高齢者などへの対策の必要性を訴え、予算を組み替え子育て世帯以外にも道独自の支援を速やかに講じるよう求めてきました。結果として組替動議は否決されたが、道が抱える課題は山積しています。今後も、道民目線に立ち、限りある貴重な財源が、皆様の日々の営みに迅速かつ有益に活用されるよう、議会議論の中で、知事を追及していきます。

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