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2025-07-04
第2回定例会閉会と定数協
- 2025-07-04 (金)
- ささだブログ
7月4日(金)第2回定例会が閉会しました。
閉会後には第32期の第10回目になる道議会議員定数等検討協議会で有識者との意見交換会が実施されました。
有識者として選定した、広島大学大学院人間社会科学研究科実務法学専攻の新井誠教授から講和を受けました。
主な内容は投票価値の平等(一票の格差)とその他考慮すべき要素(面積や固有の事情)との関係性についてです。現行法や最高裁判決から道条例でどこまで踏み込んだ改正が合法なのか結論は出ませんでした。
第2回定例道議会は2025年度一般会計補正予算案及び一般会計追加補正予算案、「地方財政の充実・強化に関する意見書」などを可決し閉会しました。
代表格質問には菅原和忠議員(札幌市厚別区)が立ち、知事の政治姿勢、行財政運営、防災・減災、医療・福祉課題、経済と雇用対策、宿泊税、エネルギー政策、交通・物流対策、第1次産業の振興、アイヌ政策、北方領土返還要求運動等、教育課題について知事及び教育長の所見などを質しました。
主な審議経過について
開会日の17日には、総額31億7,000万円の2025年度一般会計補正予算案が提出されました。
この補正予算案には、国による高校授業料の無償化に伴い、所得制限により就学支援金の支給対象となっていない高校生等に対して支援する高校生等臨時支援事業費として30億8,900万円などが計上されました。
また、一般質問最終日の25日には、物価高騰対策として総額28億3,000万円を追加する補正予算案が提出され、LPガス利用者の負担軽減を図るため、販売事業者が実施する料金値引きを支援するLPガス利用者緊急支援事業費として27億5,400万円などが計上されました。
本定例会に提出された一般会計補正予算案を加え、2025年度一般会計の総額は、3兆564億6,900万円となりました。
代表格質問では
知事の政治姿勢として①地域格差の是正、②地方創生2.0、③知事のリーダーシップ、
④知事がめざす道政の在り方の四点に絞って認識等を質しました。
人口減少と高齢化が進行する地方において、地方創生2.0の実現に向けた取組を質しましたが、知事は「一人ひとりが豊かで安心して住み続けられる地域の実現に向け、取り組む」と答弁するに止まり、道が地方創生に主体的・積極的に関わる姿勢がまったく感じられませんでした。
また、知事がめざす道政の在り方では、国追随の施策ではなく、道民や事業者の声を丁寧に拾い上げ政策に反映する実効性と信頼性に満ちた道政が重要と知事の所見を質しましたが、知事は「道民に寄り添った行政運営に向けて不断の努力を重ね、安心して暮し続けられる北海道の実現に取組む」との答弁を繰り返すばかりで、自らが道民の先頭に立って難題に立ち向こうとする気概が伝わってきませんでした。
行財政運営に関しては若年層の採用辞退や中途退職が増加している実態を踏まえた①適正な人事管理、財政の硬直化が進行し、金利上昇等の懸念材料が大きい中での②財政健全化、道内自治体で導入が相次ぐDXに関する課題の把握と支援などの③AI・DXの推進等、道内経済を支える産業の多様化に伴うタイムリーな情報収集と柔軟な対応が不可欠なことから、④北海道の国内外事務所の役割強化について、知事の考え方等を質しました。とりわけ国内外事務所の機能強化については、国際、国内情勢の変化に即応できる組織体制の強化に向けて、不断の検証に努めるよう指摘しました。
防災・減災については、①日本海溝・千島列島沿いにおける巨大地震対策と②防災庁地方拠点の誘致の二課題を取り上げ、知事の所見を質しました。
医療・福祉課題では、①地域医療の確保と病院経営、②少子化対策、③訪問介護事業、④女性支援法の四点について、知事の所見等を質した。地域医療を担う病院経営支援では、地域医療を担う病院経営など地域に必要な医療の確保に向けた具体的な取組を質したが、知事の答弁からは課題に対する必死さが伝わってこなかったため、地域医療を守るため、知事が率先して取組むべきと強く指摘しました。また、少子化対策では、北海道の合計特殊出生率が過去最低を更新する中での子育て環境の整備など積極的な支援の必要性を質しましたが、知事は「北海道こども施策審議会の意見やこども政策推進本部の協議を通じて取組む」と答弁したことから、助成以外にも対策ニーズはあるはずで、自治体任せにしない道の主体的な対策が急務であると強く指摘しました。さらに人件費や物価高騰の影響により深刻な経営環境にある訪問介護事業所について、知事は「住み慣れた地域で安心して介護サービスを受けられるよう取組む」と格差是正を強調したものの、さらに事業継続に向けた財政支援など所要の措置を機動的に講じるよう質したところ、知事は「本道の地域特性に応じた適切な介護報酬を設定するよう、国に要望している」とし、財政的な課題に関しては国任せの姿勢を滲ませました。
経済と雇用対策では、道民生活や事業経営に影響する①物価高騰対策及び②米国の関税引上げによる本道経済への影響、③ラピダスの進出と本道経済への影響、混迷を極める④宿泊税の四課題を質しました。物価高騰対策では、国からの交付金の活用について幅広い道民への大胆な対策を講じるべきと知事の考えを質しましたが、知事は「必要となる対策を早急に取りまとめ、所要の補正予算案を本定例会に提案したい」と具体的な検討内容の言及がなかったことから、これまでの支援策を踏襲するのではなく、道民ニーズをしっかり把握した上で、実行するよう強く指摘しました。また、ラピダスの進出と本道経済への影響では、未だ見えてこない進出に伴う全道への波及効果に関して知事の考えなどを質しましたが、知事は「道内各地域で半導体関連産業の集積を進め、立地による経済効果の全道への波及に向けて、各般の施策を展開していく」とこれまで域を出ない答弁に止まったことから、北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン最終年(2033年)までの8年間に地域でしっかり具体化し対策を取るよう指摘しました。宿泊税に関しては、冒頭、本定例会において昨年12月に議決されたばかりの北海道宿泊条例の改正案が、しかも施行前に提出されたことは前代未聞であり、議会軽視であると知事の議会運営に対して強く抗議した上で、これまでの対応とともに、目的税の趣旨や公平性の担保に関して知事の見解を質しました。これに対して、知事は「議決後、同意協議において地方制度審議会からの新たな視点での意見を踏まえ、町と検討を行ってきた結果、双方の条例を改正することで、結論を変えることなく、より目的税の趣旨にかなうものとなることから、改正案を提案するもの」と答弁しました。知事が以前から表明していた『重要課題における議会での熟議が大切』との認識をまたもや自ら反故にするばかりか、質問に対する答弁も著しく誠実さを欠いたことから、我が会派は異例とも言える「特別発言」を行い、宿泊税導入済み市町村との協議が滞り、当初条例提案が遅れ、議会議論の保証が失われるなど、確信的な外因を招いた知事の責任は重いとして、猛省を求めました。
エネルギー政策では、①泊原発の再稼働と②高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題について知事の所見を質しました。泊原発再稼働では、査読論文の新知見への見識と新知見を踏まえない結論の信頼性を質しました。答弁に立った危機管理監は、「審査・確認の結果は、規制委員会自らが責任を持って行うべきもの」との考えを示しました。また、原子力避難計画の課題と新港の安全性に関して、知事は、現計画における具体的な課題には触れず「原子力防災対策に一層取組む必要がある」と述べるに止まりました。また、燃料搬入のための新港が規制委員会の審査から除外されたことに対しては、「原子力規制委員会や国土交通省などの関係省庁全体で安全性を確認するものと承知する」と述べた上で、「北海道電力に対しても安全性の確保や住民への丁寧な説明にしっかり対応するよう伝えた」と答弁したことから、改めて泊原発再稼働の結論への信頼性を質しましたが、知事は「審査結果についても、規制委自らが分かりやすく丁寧に説明を行うべき」と危機管理監と同じ認識を示し、道民の命を預かる知事としての使命感などに言及することはありませんでした。一方、高レベル放射性廃棄物最終処分場選定問題では、概要調査へ進むことへの知事の判断をより明確にすべき時期が迫る中で、現下の認識を質しましたが、知事は、これまでと同様に「現時点では反対の意見を述べる考えであり、その表明にあたっては、道民の意見などを踏まえ、適切に対応する」と従来からの答弁を繰り返すに止まりました。
交通・物流政策では、①JR北海道の利用促進、②北海道新幹線札幌延伸の延期の二点について知事の所見を質しました。とりわけ延伸の延期に関しては、より大きな影響を受ける沿線地域のまちづくりや公共交通の在り方への主体的な取組を質しましたが、知事は「開業遅れに伴う影響等を鋭意取りまとめ、影響の最小化に向けた対応を国へ求めていく」との考えを示すとともに、「道と沿線市町とが連携を図りながら持続可能な地域交通の確保に向けた検討・協議を進める」と答弁したことから、過疎化や財政ひっ迫にあえぐ市町村に責任を押しつけることなく、道が公共交通存続のイニシアチブを発揮するべきと強く指摘しました。第1次産業の振興のうち、①農業政策では、食料・農業・農村基本計画、米の価格高騰対策を、②林業施策では、広葉樹の供給を、③水産政策では、漁業経営の安定対策をそれぞれ質しました。このうち食料・農業・農村基本計画を踏まえた農業の振興では、実効性かつ持続的な生産体制の構築に向けた万全な予算確保について質しましたが、知事の答弁は予算確保に触れることなく、「本道農業の持続的な発展と我が国の食料安全保障に貢献していく」と繰り返すに止まったことから、国に予算を求めることは当然として、道としても必要な農業予算を確保していくことを強く求めました。また、米の物価高騰対策では、知事自らが先頭に立って、米の需給バランスを踏まえた我が国の米政策のあるべき姿を国に対して積極的に提言すべきと質しましたが、知事は「本道の実情を国に伝えながら、将来にわたり持続可能な水田政策の確立が図られるよう、国に求める」と答えるに止まりました。
アイヌ政策では、国が実施した国民意識調査で明らかとなったアイヌの「歴史や文化への無理解」が差別の背景にあることを指摘し、今後どのように理解促進に取組むのか質したところ、知事は「理解の促進など、普及啓発の取組を強化していく必要がある」との認識を示した上で、「歴史や文化等を効果的に発信しながら、国や関係団体と緊密な連携のもと、アイヌの方々と寄り添いながら民族としての誇りが尊重される社会の実現に努める」と答弁しました。なお、この答弁の中で、知事が効果的な発信の一環として、リニューアルオープンする赤れんが庁舎での展示や広報などの活用に言及したことから、歴史観と展示を判断した理由を質しましたが、知事は「明治期以降、生活の糧を得る場を狭められ、文化面などでも差別を受けてきたという歴史的事実があったものと認識している」と述べました。
北方領土返還要求運動等については、戦後80年という節目を迎え、道としても官民挙げて四島返還運動をこれまで以上に後押しすべきと知事の所見を質しました。知事は「戦後80年を迎える中、さらなる世論の喚起を図るため、啓発の取組を強化する」と述べた上、「北方領土を行政区域の一部とする北海道知事として、北方領土の一日も早い返還に向け、粘り強く返還要求運動に取組む」との考えを示しました。
教育課題では、①教員の働き方改革、②公立高等学校配置計画案等、③部活動の地域移行の喫緊の三課題について、知事及び教育長の所見を質しました。教員の働き方改革に関しては、この度の給特法の改正が、真に働き方改革につながるのか、併せて、改正法の規定の実現にどう取組むのか、教育長の所見を質しました。教育長は「改正法が教員の責務にふさわしい処遇改善や学校における働き方改革に資するものと受け止めている」との認識を示した上で、「今後国から示される指針の内容も踏まえ、学校の実情に即した業務の削減や見直しなどを着実に進め、働き方改革の推進に取組む」とし、積極的な課題解決に取組もうとする熱意が感じられない答弁となったことから、道教委の働き方改革アクション・プランと今改正法との時間外勤務時間の縮減目標には、15時間の乖離がある中で、国の指針を待つことなく道教委として時間外勤務縮減の具体案を示すべき」とさらに質しました。これに対し教育長は、「今年度新設した『働き方改革支援チーム』による各学校の実情に応じた支援を強化する取組も進めており、教員が「働きやすさ」と「働きがい」を感じながら、活き活きと子どもたちと接することができる環境の整備に全力で取組む」と答弁したことから、成果が実感できる取り組みを機動的に展開するよう強く指摘しました。
なお、我が会派は、定例会において宿泊税条例改正案を承認するのは、制度の検証や議論が不足しているものと判断し、閉会日である7月4日(金)に、鈴木一磨議員(北見市)が反対討論を行いました。
採択された決議・意見書 (◎は政審・会派発議、○は委員会発議)
◎地方財政の充実・強化に関する意見書
◎事前復興まちづくり計画の策定支援を求める意見書
◯ゼロカーボン北海道の実現に資する森林・林業・木材産業施策の充実・強化を求める意見書
◯国土強靭化に資する道路の整備等に関する意見書
◯義務教育の機会均等の確保と教育予算の確保・拡充を求める意見書
◯私学助成制度に係る財政措置の充実強化に関する意見書
当面する課題と対応
(1)宿泊税について
宿泊税については、条例制定の過程において混迷を極めた。そもそもの問題はどこにあるのか。未だ制度への疑念は尽きない。肝心の使途が明確でなく、道は立ち止まって制度全体を精査する必要があった。「観光立国北海道」の実現をめざすのであれば、その礎となる宿泊税に関する条例については、議会における熟議を尽くすべきである。広域自治体である道は、本事案に限らず当然、基礎的自治体である市町村と協力し合わなければならないが、市町村との調整をおろそかにしたことが今回の混乱を招いた一つの要因と言えないか。
知事は、我が会派の代表格質問に対する答弁でも、来年4月導入に意欲を示しているが、今後、総務相の同意に数ヶ月を要する見込みであり、同意を得たとしても当初どおりのスケジュールを強行するのであれば、周知期間は余りにも短い。反対討論が否決されたことは、極めて遺憾だが、税の使途も定まらぬまま、見切り発車するべきではない。改正条例案は決議されたが、引き続き、道民、国内外の観光客、関連事業者及び自治体に無用な混乱を招かないよう、適正かつ円滑な運用などに向けて一層議論を重ねる必要がある。
(2)泊原発再稼働について
本年4月末に原子力規制委員会は泊原発3号機について、再稼働の前提となる新規制基準に適合しているとの審査書案を了承した。これ以降、知事や地元自治体の同意が最大の焦点であり、代表格質問や予算特別委員会の知事総括質疑においても知事の所見を質してきた。
しかし知事は、地元合意について「関係自治体の範囲を含め具体的な手続きは、国が明確にすべき」、道民の意見聴取について「先行県における説明会の開催や対応の事例も参考に適切に対応する」などと消極的な答弁に終始してきた。
過酷な原発事故が起これば、地元のみならず全道域で道民の生命と財産が危険に 晒され、致命的な打撃を受けかねない。だからこそ、原発問題は、将来の電源構成を踏まえ、全道民的な議論が必要であり、再稼働に関しても全道的なコンセンサスが欠かせない。広域自治体の長である知事は、主体的に安全・安心の確保に取組むべきである。
再稼働に関しては、今後も議会において様々な課題や問題点などについて、道民目線に立って、慎重な議論を尽くしていく。
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