- 2013-11-06 (水) 9:56
- ささだブログ
11月6日(水)農政委員会が開催され、TPPをめぐる状況等について報告がありました。
私から、西川TPP対策委員長の発言についての認識や重要品目が守られるかの認識などについて質疑させていただきました。
さらに、先月末から大々的に報道されている米の生産調整について、道の認識や対応についても質問しました。
質問内容は次の通りです。(答弁もまとめた状況は後日掲載します。)
一 TPP交渉について
10月1日から8日にかけて行われたインドネシア・バリで開催された首席交渉官会合、閣僚会合、最終日の首脳会合の報告を受けたが、今回も道職員2名を派遣し、情報収集に努められたとのことである。
マスコミ報道によれば、この会合に同行した自民党の西川TPP対策委員長は、「米や麦などの重要5農産物の一部を関税撤廃の対象にする」ような発言があり、自民党の選挙公約違反ではないのか、と大きく波紋を呼んでおり、農業者は不安な毎日を過ごしている。
知事は、10月30日、林農林水産大臣に緊急要請を行ったところであるが、以下、TPPに関して伺う。
(一)TPPに対する道の認識について
第3回定例会における我が会派の代表質問で、「TPPには断固反対という姿勢を改めて表明し、国に強く求める行動をとるべき」と質したのに対し、高橋知事は、「本道農林水産分野における重要品目の関税を維持すること、また、本道経済や道民生活に影響を生ずると見込まれる場合には、交渉から撤退を辞さないものとし、万全の対応を行う」との答弁でありました。道民の代表として知事は今も、TPPに対する認識は、現在も変わらないのか、まずは伺う。
(二)西川委員長の発言に対する認識について
安倍総理が本年2月に交渉参加を表明して以降、政府は「攻めの農業」などと、 ワンフレーズ的な言葉で、一次産業、とりわけ農業は輸出産業になり得るかの如 く繰り返しマスメディアを使い宣伝しているが、農業者から見れば、外堀を徐々 に埋められ、真綿で首を絞められるような思いでいます。
それに輪をかけたように今回の西川委員長の発言があったが、先日、西川委員長は本道の主要な畑作・酪農地帯であるオホーツクを見られたが、この発言をどのように認識しているか伺う。
(三)重要品目が守られるかの認識について
10月11日の知事記者会見で、知事は記者からこの西川発言の質問に、 「道内で心配する声もあるが、まずは見守っていく」との発言をしていますが、危機感がなく、農業者の心境を理解していない発言と言わざるを得ません。
重要品目には米や小麦、でん粉、砂糖、牛肉、乳製品等のいわゆる5品目に加え、「など」と表現している小豆、いんげん、軽種馬などを含め重要品目といわれている、農林水産品目834のタリフラインを守られると思っているのか、守られるとするなら、その保証はどこにあるのか、どのような根拠からこのような「まずは、見守る」との発言になったのか伺う。
(四)北海道のとるべき対応について
先ほども述べたが、徐々に外堀は埋められつつある状況下にあって、本当に、本道の重要5品目などが守られるのか、私は疑問であり、かなり難しくなってきているのではないかと考える。一つでも譲ることは、そこから2つ、3つと譲歩に譲歩を重ねることになり、結果として、本道にとって大きな問題に発展します。
この本道が守るべき重要品目などは道民の生活そのものを守ること、地域経済を守ることである。
12月上旬にTPP閣僚会合が行われ、年内妥結に向けヤマ場を迎えることが予想されるが、タリフライン1つでも入れないとする姿勢を示すには、国に対して取るべき対応は、今こそ「TPP交渉からの脱退を強く求めるべき」と考えるが、農政部長の考え・決意を伺う。
一 米の生産調整の見直しについて
10月25日の各紙の朝刊に、政府・与党は「米の生産調整廃止を検討」、「コメ減反見直しに着手」などと大々的に報道がされた。
政府は、今回の生産調整の見直しや、農業生産法人の要件緩和などについても、政府の産業競争力会議の民間議員の発言を受けてというか、後ろ盾に議論を展開しようとしているのではないか、これまで農業者が国民の食料、主食である米の安定供給に努めてきたことを踏みにじるものでないか、と大変危惧するところである。
そこで、この米の生産調整の見直しの動きについて質問する。
(一)生産調整の見直し議論について
国民の主食である米は、安定的に生産されるべきであり、生産者が価格の変動や、投機的に生産を増減することは望ましいことではなく、国による一定の管理のもとで生産されるべき作物と考えますが、この生産調整の見直しの議論をどのように受け止めているのかまず伺う。
(二)本道への影響について
この見直し議論は、TPP交渉を見据え、競争力を重視した農政に転換しようとする意図が透けて見えるように思うのは私一人でしょうか。
農業新聞の論説では「現場実態無視の廃止論」との見出しで、『生産調整の目的を見失うことなく、生産現場の実態を踏まえた冷静で慎重な議論を求める』とある。
現行の10a当たり15,000円の直接支払について、政府・与党では2014年からは7,500円か5,000円の半額以下に、加えて大規模農家に限定する案まで考えられており、5年後には減反の廃止に合わせてこの支給を止めるとの報道がされている。
本道の戸当たり平均水稲作付面積は7.5haであるが、渡島では3.4ha、檜山では5.4haである。
私は、作付規模の大小で区分することは、多様な特色ある農業を認める本道農業の基本政策とも食い違うものではないかと思う。
現段階では、限られた情報しか得ていないと思うが、仮にこのような見直しで進められる場合、本道への影響をどのように考えているのか伺う。
(三)米の生産コストの4割引き下げについて
政府は、「攻めの農業」の美名のもとに、米の生産コストの4割削減を掲げているが、本道の稲作経営は、先にも述べたが平均作付面積で7.5haで全国平均の5倍であり、生産費は全国平均を2割以上下回るものの、規模別生産費は7~10ha、10~15ha、15ha以上とも60kg当たり1万1千円台で並んでおり、面積が大きいからといって、経費が下がるわけではないと言われている。
規模拡大が全てを解決すかのように声高に聞こえるが、この4割コスト削減についてどのような見解を持っているのか伺う。
(四)今後の対応について
民主党政権下の農業者戸別所得補償制度は、多くの農業者に受け入れられ、評価を得たものと確信しており、直接支払の10アール当たり15,000円は主食用の過剰作付を防止し、価格の維持を図るとともに、水田を活用した飼料用米など他の作物の生産誘導にも効果を発揮したのではないかと考えるところである。
農業政策を時の政権の公約にしてコロコロ変えるのは好ましいことではなく、一番迷惑を被るのは現場の生産者である。
今、政府が検討している経営所得安定対策の見直しでは、直接支払交付金の廃止若しくは縮減しようとしており、農業を産業として認めるのではなく、日本型直接支払にシフトし、地域政策、いいかえれば地域の問題であるかのように舵を切るのは、国民の食料を確保する義務を国が放棄するように私には思えて、甚だ疑問である。
知事や農政部長がよく答弁されている言葉に「持続可能な本道農業の確立」とあるように、持続可能とは農産物の再生産可能な所得を補償し、農業者が国民に食料を供給する責務を担っていると、農業に誇りが持てることであると考える。
政府・与党で議論されている情報を収集し、本道農業の実情や今後の本道農業に支障が生ずることのないように、国に必要な提案・要請を機を逸することなく行っていただきたいと考えるが、今後どのように対応するのか所見を伺い質問を終える。